NTT東日本 神奈川事業部は5月12日、テルウェル東日本、e-Craft、Digikaと共に、シニア層の健康増進・デジタルリテラシー向上を目的に、ICTを活用したシニア向け教育プログラムのテストマーケティングを実施し、参加者の満足度、理解度、上達度、身体影響度などの観点から、有効なコンテンツであることの結果を得ることができたことを発表した。
テストマーケティングでは、タブレットを使用し、 脳トレ・ゲーム感覚で そろばん式暗算が身につく「デジタルそろばん(そろタッチ)」を計3回+子供交流イベント(9名)と、ロボット製作にて手先を動かし、自身にてプログラミングを学習しロボットを操作する「ロボットプログラミング(embot)」計5回+子供交流イベント(11名)を実施した。
「デジタルそろばん(そろタッチ)」では、動画視聴・iPadの操作説明、アプリで演習・両手を使う練習、フラッシュ暗算体験・暗算リレー・暗算ゲーム、子どもたちとオンライン交流を実施した。
ラボ校キッズ(学習開始適齢期:5〜8歳)の平均学習時間は1日20分弱だが、シニア受講者は39.7分であったという。また、38日間の学習進捗は、ラボ校キッズの場合、両手を使った同時タッチなどで珠置きの練習をするレベルであるJ2ステージのところ、今回のシニア受講者は「5の合成と分解」と呼ばれる操作を含むレベルであるJ4ステージにまで進んだ。
オンオフの指先の動きに加え、脳内で珠をイメージするための学習を早期に始めることができたという。ラボ校キッズと受講者シニアを比較すると、約2倍の学習量で2倍の学習進捗と、素晴らしい結果となった。iPadを事前にご自宅に貸し出したことで学習が加速し、大きな学習効果を得られたとみている。
「ロボットプログラミング(embot)」では、ダンボールロボット(embot)の工作、プログラム動作を考え意見交換しアプリでプログラミングしてembotを動かす、子どもたちにプログラミングを教えるといったことを実施した。
上達度合いとして、参加者のスキルや知識の違いもあり進み方には個人差があったものの、参加者同士が徐々にコミュニケーションを取り、相談や教え合いを行ったという。参加者の中には右手が不自由な人もいたが、今回の取り組みを経験したことでリハビリ効果がみられたという報告もあったのことだ。また、最初は能動的ではなかった参加者も終盤では積極的に参加し、最終日の児童への指導に対しても積極的に参加していたという。
この結果は、「シニア層に対するICT教材・ツール活用」「子どもに教えることを目標設定したカリキュラム設計」「カリキュラムを通じたコミュニティ形成・交流促進」などの観点から、シニア層に対する当該コンテンツ活用が有効と考えられ、「高齢化」「デジタルデバイド」等の解決に貢献できるよう、各自治体における地域に根ざしたサスティナブルな取り組みへの展開をめざすという。その一環として、今回テストマーケティングを実施した横須賀にあるICT教育施設「スカピア」でも体験会、本格的な教室開催を行っていくということだ。