IDC Japanが5月10日に発表した国内コラボレーティブ・ワークスペース市場予測によると、2022年の同市場は前年比成長率10.0%で売上額ベースの市場規模は3334億5600万円であり、2027年には4537億7400万円まで拡大するという。

同社2023年2月に実施した調査では、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)感染拡大(コロナ禍)の収束後、全社的に月1回以上のリモート・ワークを実施すると回答した企業は、1000人以上の大企業では61.7%に上り、ハイブリッド・ワークによる働き方の変化は今後も国内で持続すると同社は予測する。

また、ユーザー企業の投資/注力分野を見ると、今後のIT投資における強化項目では多様な項目が挙がった。

この調査結果の背景には、企業の関心が単なる業務のデジタル化から、その成果としての生産性向上/従業員の能力開発や連携によるビジネス機会創出などの課題解決への要求に移り、その検討手段が多様化している状況が推察できると同社は言う。

さらに、デジタル・ワークスペースの高度化において、2022年から相次いで発表されているGenerative AI(生成AI)関連サービスが同市場に及ぼす影響は大きいといい、インテリジェント・デジタル・レイバーがユーザー企業で導入しているコラボレーティブ・ワークスペースと融合することによって業務が効率化し、本質的な働き方の変革やリスキリングを伴う従業員の配置転換につながると、同社は見ている。

  • 国内コラボレーティブ・ワークスペース市場の規模予測(売上額ベース) 出典: IDC Japan

2023年以降の同市場の推移を同社は、国内企業における緊密なシステム間の統合と生産性向上への要求や、法改正を含めたデジタル・ワークスペースの適用拡大により、好調に成長すると予測している。

その結果、同市場は2022年~2027年の帰還に年間平均成長率(CAGR)6.4%で推移し、2027年には4537億7400万円になるという。

同社Software & Services シニアマーケットアナリストの太田早紀氏は、「国内コラボレーティブ・ワークスペース市場が今後も成長していくために、ITサプライヤーは、Generative AIの活用/ガバナンス策定支援、ハイブリッド・ワークの環境構築に向けたビジネス・コンサルティング機能の強化に積極的に取り組むべきである。また、人的資本開示を契機とした従業員エクスペリエンス(EX)改善への取り組み支援による新たな事業機会の開拓を行い、継続的な国内企業におけるデジタル・ワークスペース活用を通じた生産性向上への取り組みを推進すべきである」とコメントしている。