アナログデバイセズ(ADI)は、2023年4月19日から21日まで東京ビッグサイトで開催された医療機器製造・設計向けの展示会「Medtec Japan 2023」で、生体情報の計測が可能なスマートウォッチやリストバンド、そして計測パッチなど、臨床研究における評価用途向けのヘルスケアプラットフォームを展示した。
近年のヘルスケア領域においては、遠隔での健康状態のモニタリングや経時的な生体情報の計測に対するニーズが高まり、ビッグデータを活用したソリューションの開発が進んでいる。またこうした流れを受け、ウェアラブル端末で取得した生体情報を健康管理指標として分析するためのアルゴリズムについても、さらなる高度化が求められている。
半導体メーカーであるADIは、コンバータなどのデバイスや、センサといった特定用途向けのICなどの製品群を有する。そして医療向けにおいては、センシングで得た情報を処理するアルゴリズムや、それらを実装したヘルスケアプラットフォームへと、製品領域を拡大しているという。
そして今回同社は、センシングされたあらゆる情報を、心拍数や心電図、血中酸素飽和度といった生体情報の形へと処理するプラットフォームを紹介するとともに、3種類のモニタリング用デバイスを展示した。
同プラットフォームでは、計測データをもとにさまざまな生体情報をモニタリングする。これらのデータがプラットフォーム化されていることにより、デバイスで計測した生体情報がすぐに可視化されるため、現場の医師や医療機器メーカーの担当者などが、すぐにデータ収集や評価を開始できる点がメリットだという。
またADIの小島昇太氏によるプレゼンテーションでは、同社の強みとして、情報処理アルゴリズムを搭載したマイクロコントローラユニット(MCU)が挙げられた。
今回展示された生体情報計測パッチ「MAXREFDES106」は、光学式での心拍数計測や心電図の測定に加え、インピーダンス心電図、血中酸素飽和度などを常時モニタリングすることが可能だ。また先述したように、アルゴリズムを搭載したMCU上で情報を処理してから出力することが可能であるため、心拍の変動といった高度な処理が必要な2次指標も、システム側のMCUを圧迫することなく計測することができるという。
小島氏は、今回展示されたヘルスケア領域向けのプラットフォームは、デバイス開発や研究用途に向けた評価環境として販売を開始しており、今後も顧客のさまざまな用途に合わせて、幅広い製品群を提供していきたいと語った。