ガートナージャパンは5月8日、デジタルを前提としたワークプレースにおける人材投資を企業戦略上の重要項目と位置付け、これに不可欠な従業員のITリテラシーの向上に向けて、企業が取り組むべき4つのアクションを発表した。
企業が取り組むべき4つのアクションは以下の通り。
従業員がITリテラシーを向上できる機会を継続的に設ける
ITリテラシーの向上とは、ITスキルの習得だけでなく、それを使いこなす能力の向上も意味する。それには、PC操作などの基本的なITスキルにとどまらず、セキュリティやデータ活用など、より高いスキルも含まれる。
企業は、従業員のITリテラシー向上のために、研修などの集合型トレーニングの実施、各ビジネス部門にITスキルを浸透させるための実践コミュニティ(CoP)の設置と推進、ワークショップの実施、それに従業員自ら学べるセルフ・トレーニングの機会を増やすなど複数のアプローチを組み合わせて推進することが重要としている。
同社は、2026年までに、企業の60%においてデジタル・ワークプレースを推進するCoPがビジネス部門に設置されると予測している。
ITスキルをビジネスと連動させ、目的に合わせて体系化する
さまざまなスキル向上の取り組みが行われているものの、やみくもに取り組んだ結果、どのスキルをどの従業員に身に付けさせるかが定まらず、漠然としたものになってしまっているケースが散見されるという。
身に付けるべきスキルを内容によって、コア・スキル(全社員が身に付けておくべきスキル)、ロール別スキル(職務にひも付くもので、現在持つべき、および将来に向けて持つべきスキル)、差別化スキル(将来の企業競争力につながるスキル)の3つに分類し体系化する必要があるとのこと。
スキル・ロードマップを定期的に見直し、短期間で学べるアジャイルな方法を取り入れる
必要となるスキルは変化するため、定期的なスキル・ロードマップの見直しと、継続的にスキルをアップデートさせるアジャイルな仕組みが必要となるという。
例えば、ビジネス・ニーズの変化に応じて、必要なスキルを定義し、仕事のフローに学習を組み込む、各役職への昇進タイミングで必ず身に付けるべきスキルを定義し、キャリア・ロードマップとITスキルを連動させるなど、よりビジネスに寄り添った教育体系を作り上げることが求められる。
特に差別化スキルは、企業のDX推進とひも付けることで目的に沿ったスキルを定義することが可能になるという。
スキル向上の意義を周知する
スキルの獲得は、会社や組織のためだけではなく、自身のキャリアを向上し、変化に対する将来の保証となり、自身の価値を高めるという意味を持つという。
スキルを身に付けた優秀な人材は条件のより良いところへ転職してしまう可能性もあることから、企業は従業員に対し、ラーニングの手段を提供するだけでなく、「この会社にいると自分が成長できる、元気になれる、新しいスキルを獲得してビジネスで活躍できる」といった意識付けを行うことが最も重要とのことだ。