エクサウィザーズと京都大学は5月8日、日本医療機能評価機構(以下、評価機構)が公表している「薬局ヒヤリ・ハット事例収集・分析事業」の事例(以下、薬局ヒヤリ・ハット事例)に関する医薬品医療機器総合機構(以下、PMDA)による過去の評価結果を学習させた評価AIを開発したことを発表した。

患者の健康被害につながる可能性がある薬剤取り違えなどの薬局ヒヤリ・ハット事例に対して、PMDAが実施した評価結果をもとに医薬品の安全性に関するテキスト報告データを評価するAIを開発している。

このAIにより、薬局ヒヤリ・ハット事例における医薬品のモノの対策が必要となる事例の見落としを低減し、人による評価が必要な事例の数を約30~60%程度削減する効果が期待できるという。

  • エクサウィザーズと京都大学はPMDA評価結果を学習させた医薬品安全性の評価AIを開発した

    エクサウィザーズと京都大学はPMDA評価結果を学習させた医薬品安全性の評価AIを開発した

薬局ヒヤリ・ハット事例は年間あたり10万〜18万件ほどが報告されており、そのうちPMDAの調査対象となる事例は年間6000〜7000件程度だ。PMDAでは当該調査対象事例の発生要因に対する製造販売業者らによる安全管理対策(モノの対策)の要否を検討し、評価結果を踏まえた対策を講じている。PMDAによる調査対象は増加傾向にあり、報告評価の効率化が期待されているとのことだ。

エクサウィザーズと京都大学が開発した評価AIは、PMDAが実施した過去の評価結果を学習させており、2020年度時点において対策が必要となる事例を「見落としを最小化する」指標であるRecallについて96%の精度を示している。さらに、2021年度および2022年度の調査対象事例を対象とした検証では、人による評価が必要と判断される事例をすべて抽出できた。

両者はAIによる評価と検証結果によって導き出されたルールによる評価を組み合わせた評価モデルを開発し、既存の抽出条件を適用したのみの場合と比較してPMDAの調査対象事例を約50〜60%削減できることを確認しているとのことだ。

  • 評価AIによる削減効果

    評価AIによる削減効果