キヤノンITソリューションズ(キヤノンITS)は5月8日、NTTデータが提供する金融機関向けファイル伝送サービス「AnserDATAPORT」と接続する新サービス「EDI-Master Cloud for AnserDATAPORT接続サービス」を同15日から提供を開始すると発表した。
2024年のINSネット(ディジタル通信モード)提供終了に伴い、固定電話網からIP網への移行が必要になる状況において、銀行と企業間で行われるファームバンキングにおいてもINSネットを使用した従来型EDI(Electronic Data Interchange:電子データ交換)からの切替えが進められている。
AnserDATAPORTは「全銀協標準通信プロトコル(TCP/IP手順・広域IP網)」に準拠したファイル伝送サービス。閉域ネットワークサービスConnecureを利用することで、企業が銀行ごとに個別のネットワークを引くことなくデータ交換を可能としている。
閉域ネットワークならではの安全性や広域IP網対応が容易なことから、多くの金融機関・団体で従来型EDI方式の後継として採用されており、ファームバンキングを利用する一般企業でも、接続先銀行の切替え方針に合わせてAnserDATAPORTへの移行が検討されているという。
このような状況を踏まえ、同社はファームバンキングにおける従来型EDIの早期切替えを支援する新サービスの提供を開始する。
新サービスは、企業が個別にConnecure回線を敷設の必要がなく、AnserDATAPORTへの接続ができ、すでに提供しているEDIサービス「EDI-Master Cloud」の契約企業間をインターネット回線によりSFTP接続するほか、EDI-Master CloudとAnserDATAPORT間は、同社が用意した開通済みのConnecure回線を利用することで、銀行とのセキュアなデータ交換を早期に実現するという。
Connecure回線は、EDI-Master Cloudのユーザーと共用で利用するため個別に回線を敷設するよりも安価に利用できることに加え、Connecure回線の敷設・運用は同社が行うことから、AnserDATAPORTの利用における運用の負荷を軽減するとしている。
キヤノンITSでは業界・業種問わず300人以上の企業規模で銀行とEDIを利用した総合振込、給与振込、賞与振込、口座振替などのデータ交換を実施している企業を対象としている。
価格は月額10万円~となり、別途EDI-Master Cloudの契約が必要となる。今後、同社はEDI-Masterシリーズを中核とするEDIソリューション事業で、2025年までに年間売上高35億円を目指す。