Samsung Electronicsが4月27日に2023年第1四半期(1〜3月期)の決算概要を発表した。
それによると半導体事業部門の売上高は前年同期比49%減の13兆7300億ウォン、営業損益は4兆5800億ウォンの赤字(前年同期は8兆4500億ウォンの黒字)だったという。同部門の赤字は14年ぶりのことで、PCやスマートフォン(スマホ)の需要低迷によるメモリ価格の下落が響いたとする。
内訳としてはメモリ事業の売上高は同56%減の8兆9200億ウォンで、ファウンドリやシステムLSIなど非メモリ事業は同29%減の4兆8100億ウォン。DRAMは価格が市場予測を下回り、ビット成長率も従前のガイダンスに届かなかったとする一方、NANDも需要低迷はあるものの、主要モバイル顧客向け512GB以上のeStorageやPC OEM向けの1TB以上のクライアントSSDなど高容量品を中心に出荷した結果、ビット成長率は従前ガイダンスを上回る結果となったとする。
メモリメーカーの中で最後まで減産をしなかった同社だが、4月7日についに減産方針を表明。生産調整は在庫の多い旧世代品が中心で、先端品は調整しないとのことだが、減産規模や期間については明言を避けている。
一方、成長のための投資は緩めないとし、第1四半期には、半導体事業に9兆8000億ウォンの投資を行ったという。メモリ向けには韓国平澤事業所P3棟のインフラストラクチャ完成と、中長期的な供給に備えたP4棟建設が中心となり、ファウンドリ向けには米テキサス州テイラーと韓国平澤のファブでの先端プロセス需要への対応を進めたとする。
Samsungは今後をどう見ているのか?
メモリ事業としては第2四半期も、サーバ投資が抑制気味で、DRAM需要の回復は限定的であるため高付加価値品に注力していくとする。一方のNANDも、モバイルQLD市場の創出とポートフォリオの多様化による高密度ストレージニーズへの対応を中心に、幅広く高密度化ニーズに対応するとしている。同社ではメモリ需要は下期に徐々に回復すると見ている。
システムLSI事業は、SoCやセンサなどの主要製品の需要減の中、モバイルSoCの売り上げは増加し、超広帯域の近距離無線通信用半導体も投入。第2四半期も全体需要は第1四半期並みで推移すると見込んでいるが、センサやパネルDDIなどの顧客在庫の減少が見えているほか、第3四半期のピークシーズンに向けた在庫積み上げ需要も、収益の押し上げ要因になるとしている。下半期は顧客在庫が平準化し、中国市場の回復を皮切りにモバイルの需要が回復する見込みであり、モバイルSoCの競争力強化に向け、主力セグメントへの再参入を試みるとしている。
ファウンドリ事業は、第1四半期に需要減少による在庫レベルの上昇と、受注減少により収益が減少。現在、GAAを適用した第1世代3nmプロセス品が量産を開始、歩留まりは安定しているとする。すでに第2世代3nmプロセスの開発も進めており、2024年の量産開始を目指し、主要顧客からの新規注文の確保に注力しているとする。
第2四半期については、需要の回復により、前四半期比で収益はわずかに改善すると予想。2nmプロセスの設計や開発は順調に進んでいるとするほか、高密度メモリ統合技術の開発完了により、将来の生成AIをサポートする基盤を確保したとする。下半期は、HPCや車載を中心とした市場の回復から収益も回復すると予想。第2世代3nm GAAの開発をベースに2nm GAAの開発を進めることで、新規顧客受注の拡大と技術力強化を図るとしている。