KDDI総合研究所と早稲田大学は4月27日、AI(Artificial Intelligence:人工知能)の低消費電力化と高速化の実現を目指して、従来比で約17分の1の面積の光AIアクセラレータ用シリコン光回路を試作し、時系列データの予測に成功したことを発表した。
両者は、シリコン上に光回路(面積:0.25×0.92ミリメートル)を試作し、性能比較のために標準的に用いられているタスクであるSanta Fe波形の予測をさせた。その結果、正解データと予測データの誤差が小さく、同構造の有効性が示せたという。
従来のシリコン上に形成した光回路では、AIのモデルの一つであるリザバーコンピューティングを動作させるために、現在の情報と過去の情報を混ぜ合わせる必要があり、信号をネットワーク状に形成された光回路で何度も混ぜ合わせる構造か、長い渦巻き状マルチモード光導波路構造をとっていた。
今回の試作では、長い渦巻き状マルチモード光導波路構造と比較して導波路幅を約2倍広くし、蛇行状の導波路構造を採用して長さを調整することで、短い導波路長でゆっくり進む光波(高次モード)を多数発生させ、さらには信号を高速化することで現在の情報と過去の情報が十分に混ざり合うように設計している。