日立製作所(日立)は4月26日、タイで開発を進めている電圧・無効電力オンライン最適制御システム(OPENVQ)の本格実証に向け、システムの構築を完了し実証運転を開始したと発表した。新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)からの委託事業で、タイ王国発電公社(EGAT)と共同で進めている。
同実証運転では、EGATが所有するタイ北東部の送電系統を対象にOPENVQとEGATが運用する給電指令所の電力系統の監視と制御を行うSCADAシステムを連携させる。これにより送電ロスを抑制し、電力系統運用の高度化・効率化を目指す。
近年、タイでは経済発展に伴う電力需要量の伸長により、送電系統の送電ロスの抑制が課題となっている。また、タイ国内の主要な電源が火力発電所であることから天然ガスなどの化石燃料の使用量が増加しており、環境負荷の低減を考えた電源構成の実現に向けて再生可能エネルギーの導入が求められているという。
日立は、本格実証に先立ち、2022年11月にOPENVQの導入を完了させた。2023年1月からは、フェーズ1として、EGAT運用者と共にの制御指令に基づいた手動制御を行いました。今回、フェーズ2として、2023年2月21日より、OPENVQをEGATが運用する給電指令所の電力系統の監視と制御を行うSCADAシステムと連携させた実証運転を開始。これにより、EGAT運用者を介さずにSCADAを経由してEGATの電力系統の自動制御が可能になる。
OPENVQ導入後のモニタリングデータを日立が分析したところ、2023年2月21日から3月10日までに約200トンのCO2排出量の削減効果があったという。今後は、2023年12月までのモニタリング結果をもとに第三者機関の検証を経て、CO2クレジットの発行を目指し、タイと日本のカーボンニュートラル実現につなげていく考えだ。