ICT市場調査コンサルティングのMM総研は4月25日、個人事業主(2万6043事業者)を対象に実施した会計ソフトの利用に関する調査結果を発表した。
調査結果によると、会計ソフトを利用している個人事業主は38.0%だった。そのうち、インターネット経由で会計ソフトの機能を利用するクラウド会計ソフトの利用率は31.0%で、前回調査(2022年4月)の29.8%から1.2ポイント増加。順調に拡大し初の30%超えに到達したという。
一方、「会計ソフトを利用していない」と回答した個人事業主は52.6%(1万3703事業者)だった。この非利用者に会計ソフトの代わりに利用しているものを確認したところ、「市販の帳簿やノートなどへの手書き」が39.8%、「エクセルなどの表計算ソフトに入力」が35.6%で多く、次いで「税理士や会計事務所への外部委託」が20.4%となった。
また、クラウド会計ソフトの事業者別シェアでは大手3社による寡占状況が続いている。弥生が52.8%、次いでfreeeが26.0%、マネーフォワードが15.3%で、上位3社で94.2%を占めている状況だ。
トップの弥生のシェアは52.8%で、前年に比べ1.1ポイント低下した。調査開始以来、首位を維持しており、個人事業主から安定した評価を得ている。2位のfreeeは26.0%で、0.6ポイント上昇。3位のマネーフォワードは15.3%で、0.2ポイント低下した。上昇したのはfreeeのみだが、3社ともシェアの変動幅が小さかった。
政府は2019年に成立した「デジタル手続法」に基づき、2024年度中に行政手続きの9割を電子化する方針を掲げ、様々な施策を打ち出している。10月のインボイス制度開始も追い風になるだろう。大手取引先などから電子化されたインボイスでの交付を希望された場合、個人事業主側もその形式での発行・保存を検討することになるため、個人事業主側の日々の請求業務の電子化が進み、ひいては会計業務や確定申告の電子化も進むとMM総研はみている。