ウイングアーク1stは4月25日、企業間取引の電子化に関する実態調査の結果を発表した。これによると、請求書や契約書の社外取引で使用ツールの散在を7割超が実感しており、9割が効率低下を懸念しているという。
同調査は同社が4月5日~6日にかけて、100億円以上の売上の企業に所属し請求書関連業務に携わる会社員を対象にオンライン・アンケートにより実施したものであり、有効回答者数は531人。
社外との商取引でどの程度電子化が進んでいるか尋ねたところ、完全電子化が7.9%、80%以上電子化が19.4%、50%以上80%未満の範囲で電子化が24.7%と、計52.0%の企業で社外取引において電子化が進んでいる。
社外との商取引で電子化が20%以上進んでいるという回答者に、自身が携わっている社外との商取引において使用したことがあるデジタル・ツールまたはクラウド・サービスが種類あるかを聞くと、10種類以上が10.8%、6~9種類が16.2%、2~5種類が41.5%であり、社外取引で2種類以上のデジタル・ツールを利用している企業は68.5%に上る。
2022年の調査と比べて18.9ポイント増加しており、10種類以上との回答は同7.2ポイント増加した。
デジタル・ツールなどを2種類以上使用しているという回答者に、自身が関わっている社外取引において現在使用ツールは散在していると思うか質問すると、「とても散在している」が19.7%、「やや散在している」が54.3%で、計74.0%の回答者がツールの散在を実感している。
ツールの散在を実感しているとの回答は、2022年の調査と比べて22.0ポイント増加した。
同じくデジタル・ツールなどを2種類以上使用している回答者に、自身が携わっている社外との商取引で、請求書や契約書など電子帳票を受け取った後に保管・管理するツールは受け取りツールと同一かと尋ねたところ、「同一である」が40.6%、「異なるツールを使用している」が55.5%だった。
異なるツールを使用しているとの回答は、2022年と比べて10.7ポイント増加している。
異なるツールを使用している回答者に、そのため社内の文書管理・確認業務の効率が悪いと感じたことがあるか質問すると、「何度も感じたことがある」が43.3%、「数回感じたことがある」が47.5%で、計90.8%の加藤社が「業務効率が悪い」と実感しており、この比率は2022年から10.0ポイント増加した。
同じく異なるツールを使用している回答者に、そのことによって文書管理面で情報漏洩リスクが高まると感じたことはあるか聞いたところ、「何度も感じたことがある」が26.2%、「数回感じたことがある」が50.4%で、計76.6%の回答者が「情報漏洩リスクが高まる」と実感している。 この比率は、2022年と比べて13.0ポイント増加した。
全員に、企業間取引における業務でログ/行動履歴が追えない経験の有無を尋ねると、「何度もある」が32.8%、「1~2回程度ある」が23.4%だった。
ログ/行動履歴が追えない経験がある回答者に、そのため内部統制面でリスクを感じたことがあるか聞いたところ、「何度も感じたことがある」が35.6%、「数回感じたことがある」が50.7%だった。
今回の調査結果で浮かび上がったツールの散在状況に関して、同社執行役員でBusiness Document事業部長の満岡明弘氏は、「大手・中堅企業を中心に文書保管における電帳法対応に加え、関連業務におけるペーパーレスや電子化による効率化を追求したサービス選定の傾向が見られ、2022年から準備を進めていた企業が2023年になり運用開始されたことが考えられます」と述べている。
同氏は、ツールの散在によるバックオフィス部門における業務の煩雑化と負荷増大は喫緊の課題としながらも、「社外取引において受け取り側は、取引先に合わせたツールのバリエーションを保持する必要があることも事実で、これらを鑑みるとPeppol(ペポル)対応により異なるツールでも統一できるメリットは大きいと考えられます。また請求書受領後のワークフロー申請などの後続処理を見越し、スムーズに連携できるツールの選定が重要になってきます」と指摘した。