セールスフォース・ジャパンは4月25日、1,050人のITリーダーを対象に実施した「2023年版 接続性ベンチマークレポート」の日本語版を発表した。
ITインフラの合理化は進み、自社のITインフラについて「変更を加えるのが難しい」と回答したのは54%(昨年は74%)、「新しいテクノロジーを導入するのは難しい」と回答したのは54%(昨年は70%)と、手を加えることが難しいと感じている企業は大幅に減少した。
IT部門は、より多くのプロジェクトを計画通りにデリバリーできるようになり、48%が「リクエストされたすべてのプロジェクトを予定どおりに完了させた」と回答し、昨年の44%から増加。この1年間、企業は1,170万ドル(約16億円)をITスタッフに費やし、ほとんどの企業(78%)がIT予算は今後も増え続けると予想している。
DX(デジタルトランスフォーメーション)イニシアティブに関して、弁財顧客との接点の72%はデジタル化され、69%の企業は「予想以上に早いスピードで自社の DX が進んでいる」と回答。「DX の進捗が予想よりも遅れている」と回答した企業は10%であった。DXに失敗したときの損失額は950万ドル(約13億円)にのぼると予想され、昨年の予想金額680万ドル(約9億円)から大幅に増加した。
企業が使用するアプリケーションの数は、2022年の平均976から2023年は平均1,061へと大幅に増加したが、他のシステムなどと統合されているのは29%に過ぎない。企業は直近の1年間で、カスタムコーディングによるインテグレーションに平均470万ドル(約6.3億円)を費やし、昨年の360万ドル(約4.9億円)から大幅に増加した。80%の組織がDXの障壁となっているのはインテグレーションで、「DXの進捗が予想より遅れている」と回答した企業ではこの割合が90%にも上昇する。
54%の企業が、エンドユーザーエクスペリエンスのインテグレーションは難しいと感じており、この割合は「DXが当初予想よりも遅れている」という企業では74%と高い。事業部門は、顧客の満足度とエンゲージメントの向上に取り組んでおり、36%の企業は「すべてのチャネルで完全にコネクテッドなUXを提供している」と回答し、多くの企業にとってUXインテグレーションは依然として難しい課題となっている。
また、多くの企業が自動化ソリューションの導入を進めており、33%の企業がRPAへの投資を計画。これは2年前の13%から20ポイントも増加している。多くのIT部門は、自動化プロセスを中央で管理(67%)かつモニタリング(59%)を実施し、データ分析(64%)、製品(62%)、業務分析(61%)などIT以外の多くの職種や部署からも自動化の導入を求める声が大きくなっている。
ほぼすべての企業(99%)が、パブリックAPI/プライベートAPIを使用しており、最もよく使われるのは「新しいプロジェクトのプロセス開発(53%)」、「 インテグレーション(53%)」であった。56%の企業は「非エンジニア系のビジネス ユーザーがアプリケーションやデータソースを簡単に統合できるような、完成度の高いAPI戦略を持っている」と回答し、52%の企業が「APIがセルフサービスITの機能を支えている」と回答した。2018年の35%から毎年着実に増え続けており、APIがコストを抑え、効率を高めることを示している。
MuleSoftのCTOであるMatt McLarty氏は、次のように述べている。「当社では、デジタルトランスフォーメーションを目指す企業が多額の投資を行い、献身的に尽力している姿を目の当たりにしてきました。不透明な経済情勢の中でも、DXの取り組みは順調に進んでおり、スピードアップしている企業もあります。一方で、インテグレーションの取り組みは遅れており、これなしではデータとアプリケーションの機能を存分に活かしきることはできません」