帝国通信工業は、4月19日から21日まで東京ビッグサイトで開催された「Medtec Japan 2023」で、生体用電極向けスクリーン印刷シート(生体電極シート)をはじめとするセンシングデバイスの展示を通して、医療分野向けに同社印刷技術の活用を提案した。

  • 帝国通信工業の技術を使用した生体用電極向けスクリーン印刷シートの展示

    帝国通信工業の技術を使用した生体用電極向けスクリーン印刷シートの展示

帝国通信工業は、電子回路を制御する抵抗器やセンサ、スイッチなどの各種電子部品を「NOBLE」のブランドで国内および海外に展開。製品設計から組立加工まで一貫体制をとり、要素技術を組み合わせることで、医療や産業機器をはじめとするさまざまな企業のニーズに応えている。

中でも、今回紹介された生体電極シートは、同社のスクリーン印刷技術を用いてシートを多層化することにより、薄く伸び縮みできる性質を持つと同時に、人がシートに触れることにより発生するノイズへの耐久性を極限まで抑えるという。これにより、内部の電極を通して安定した検出を実現するとする。また、印刷表面はスポンジ状の発泡層であり、なめらかな触感を実現した。これは、ウェアラブルセンシングデバイスの開発において課題であった装着時の不快感軽減につながるとしている。

  • 伸び縮みしてもなお電気を通す伸縮電極の展示

    伸び縮みしてもなお電気を通す伸縮電極の展示

同社はこのほかにも、柔軟性を活かし曲面でも使用できる静電容量式水位センサや、導線を実装した紙を使用した電気が通る折り紙など、さまざまなセンシングデバイスを紹介していた。これは、導電性を持つカーボン粉末を混ぜたペーストをシートに印刷し、そのペーストに導電の役割を担わせることで、屈曲した状態でも電気が通る仕組みとなっている。

  • センサシートの高さに中の液体が達すると変化を検知し光る仕組みを持つ静電容量式水位センサの展示

    ビーカーに貼り付けられたセンサシートの高さに中の液体が達すると、水位の変化を検知し光る仕組みを持つ静電容量式水位センサの展示

  • 紙に電子回路を印刷し、折り曲げても電流が通る折り紙の展示

    紙に電子回路を印刷し、折り曲げても電気が通る折り紙の展示

従来の基板は固く、使用用途も限られていたが、同社の印刷技術を活用することで伸び縮みほか湾曲ができ、使用用途は広がる。また、シートの素材選びから、インクの調合までを独自で行う同社は、どの業界におけるニーズにも対応可能だという。帝国通信工業は素材を問わず導線を実装できる印刷技術を、医療分野で活用できるよう今後も模索していく見込みだ。