ドラッグストアチェーン大手のスギ薬局グループが「トータルヘルスケア戦略」を掛け声に、DXを進めている。店舗の強みを活かしたデジタル戦略とはどのようなものか。
3月22日に開催した「流通ニュース×TECH+ セミナー リテールDX 店舗運営の最適化から生まれる顧客体験価値」に、スギ薬局 取締役 DX戦略本部 本部長 兼 社長室 室長の森永和也氏が登壇。「トータルヘルスケア戦略の推進~デジタル接点の拡大による顧客生涯価値の向上~」と題し、講演を行った。
DX推進のため重視した組織づくり
スギ薬局は中部、関東、関西を中心に1550店舗のドラッグストアを展開している。ドラッグストアのほか、人材紹介、訪問介護などの事業もあり、売上高は2005年から2021年まで毎年前年比増、2021年は6254億円を売り上げた。森永氏が誇るのは、3400人を上回る薬剤師、約500人の管理栄養士、約1200人の美容部員、約9700人の登録販売者の存在だ。
「DXやデジタルではWebやアプリに視点が行きがちですが、我々の一番の財産であり、戦力は彼らのようなスペシャリストたちが持つ能力です。これを発揮して患者さまやお客さまにいかに向き合えるかが大切なのです」(森永氏)
顧客との接点となるのがポイントプログラムだ。会員数は現在2067万人。「スギ薬局アプリ」のダウンロード数は1030万を数え、ライフログアプリ「スギサポwalk」は271万回ダウンロードされている。ただダウンロードされているだけでなく、スギ薬局アプリは平均アクティブ率が非常に高く、スギサポwalkの場合は直近3か月平均のDAU/MAUが50%以上だという。
デジタル戦略を進めるにあたってスギ薬局では、組織づくりを大切にしたと森永氏は言う。DX推進を司る同氏はDX戦略本部と社長室を兼任しているが、基幹となるシステムを受け持つチームとデジタルを推進するチームを1つにし、DX戦略本部をつくることで、お互いの連携を進めている。社長室については、新しい取り組みをする際に顧客や地域という視点を失わないために社長室直下にある広報、ESG推進などのチームと一緒に活動したり、情報を共有したりするという狙いがある。