Ansysは、燃料電池システムの開発などを手掛ける独Globe Fuel Cell SystemsがAnsysのシミュレーションソフトウェアを採用し、物流システム向け水素燃料電池および燃料電池システム「XLP80」の開発コスト削減に成功したことを発表した。

水素ベースの燃料電池システムで重要なのは温度調節機能であり、その温度変化に対応するために重要となるのが気体の流れとされる。そのため、Globeでもこの過程の精度を高めるためには、1つのループ内で効率的に質量流量、温度降下、流量分布を把握する必要があり、これには多くの時間と物理テストが必要であったという。

Globeではこうした課題解決に向け、数値流体力学(CFD)の解析にAnsysシミュレーションを適用。それにより、冷却ループの性能検証が容易化され、温度要件の検証に必要なシステムの反復回数を削減することに成功したという。同社では、燃料電池システム全体のコンテキストで冷却ループをシミュレーションすることで、自社のエンジニアに必要な気体の流量を把握すると同時に、システムパフォーマンスの最適化に必要なあらゆる物理的適応を特定できたとしており、このアプローチにより、開発コストを15万ドル以上削減することができたとも説明している。

また、同社の研究開発チームはAnsysシミュレーションに加えてAnsysチャネルパートナーであるCADFEMからのサポートを得ることで、現実世界で安全に動作することを確信した上で、新しい製品の開発を加速すると同時に、カーボンニュートラルを目指す顧客の要求に応えることができるようになったともコメントしている。

なお、Globeでは現在、認証プロセス上、シミュレーションが重要な要素であるとし、システム認証を迅速かつ事前の予測通りに得られるよう、システムの拡張可能性を一層加速する取り組みを進めているという。

  • ハイブリッド燃料電池システム「XLP80」

    Ansysのシミュレーションを活用して開発されたリチウムイオン電池と組み合わせたハイブリッド燃料電池システム「XLP80」