ispaceは4月14日、民間月面探査プログラム「HAKUTO-R」ミッション1において、着陸シーケンスの前に計画されているすべての月軌道制御マヌーバを完了し、ランダー(月着陸船)が着陸シーケンスを開始する準備が出来ていることを実証したことを発表した。
HAKUTO-Rミッション1ランダーは3月21日に月周回軌道への投入に成功、近月点(月に最も近い地点)高度が約100km、遠月点(月に最も遠い地点)高度が約6,000kmの楕円軌道で月を周回した後、2回の軌道制御マヌーバを行い、高度約100kmの円軌道で月を周回する軌道に到達していた。今回、同社では4月13日10時8分(日本時間)にミッション運用計画に沿って最後の月軌道制御マヌーバを実施、約10分間の主推進系の燃焼を行った後、ランダーが着陸シーケンスを行える状態になったことを確認したことから、全部で10段階あるミッション1マイルストーンの第8段階である「Success8」が完了したと判断したとする。
HAKUTO-Rミッション1ランダーはこの後、2023年4月26日午前0時40分ころ(日本時間)に高度約100kmの円軌道から降下を開始し、着陸態勢に入る予定。降下段階において、ランダーは自動制御状態で主推進系を逆噴射で燃焼して軌道速度から効率的に減速し、姿勢を調整しながら約1時間で月へ軟着陸することを計画している。また、4月14日時点で着陸地点のバックアップは3か所が想定されており、地点によって着陸日が変わるため、運用の状況に応じて着陸予定日は4月26日夜、5月1日、3日に変更される可能性があるという。
なお、次のミッション1マイルストーンとなる「Success9」については、「月面着陸の完了」となるため、26日以降に予定されている月面降下が完了した後に判断される予定。また、最後のミッション1マイルストーンである「Success10」については「月面着陸後の安定状態の確立」となっており、着陸後に月面での安定した通信と電力供給を確立し、顧客のペイロードの運用が行われた後に判断される予定となっている。