マネーフォワードは4月14日、2023年11月期第1四半期の決算説明会をオンラインで開催し、同社 代表取締役社長 CEOの辻庸介氏が解説した。
同社では、クラウド会計サービスなどバックオフィスSaaS(Software as a Service)を中心とした「ビジネスドメイン」、決済サービスを軸とした「ファイナンスドメイン」、Fintech推進・DX(デジタルトランスフォーメーション)支援を行う「Xドメイン」、会計簿アプリなどの「ホームドメイン」の4つのセグメントを展開している。
順調な滑り出しとなった第1四半期
辻氏は第1四半期の業績について「順調な滑り出し。売上高、SaaS ARR(Annual Recurring Revenue:年間経常収益)、EBITDA(税引前利益に支払利息、減価償却費を加えて算出される利益)ともに見通しを大幅に上振れした。特に法人向けARRが強く伸びた」と振り返った。
全社における第1四半期連結売上高は前年同期比43%増の67億9000万円、SaaS ARRは同42%増の182億8000万円、EBITDAはマイナス14億2000万円から同7億円、EBITDAマージンは同23%から同10%に改善し、広告宣伝費を除いたEBITDAは6億4000万円、売上総利益は同35.9%増の42.7億円となった。中堅企業向けARRは前年同期比61%増の45億4400万円、SMB向けARRは同39%増の82億3300万円とともに成長した。
ビジネスドメインは前年同期比46%増の41億4000万円、課金顧客数(法人、個人事業主)は同31.3%増と法人、個人事業主ともに顧客数は過去最高の純増となった。法人ARPAはWebプランの価格改定効果と中堅企業ユーザーの拡大により、同11.5%増となった。
「マネーフォワード クラウド会計Plus」のユーザーが順調に増加したことに加え、全国の会計事務所との強固なパートナーシップのもと、2022年度における国内従業員規模上位100会計事務所のうち、80%が同社のサービスを導入している。
ファイナンスドメインは前年同期比34%増の3億4200万円となり、請求・決済代行事業(ストック売上)が同53%増の1億2200万円、売掛金早期資金化事業(フロー売上)はグループ会社のBiz Fowordの中小企業向けオンラインファクタリングサービス「SHINKIN+」が売上拡大に貢献した。
Xドメインは前年同期比66%増の6億2800万円、ストック売上は同37%増の2億6700万円となり、DX支援サービス「Mikatano」シリーズの売上伸張が寄与したほか、フロー売上は複数の大型共創案件とスマホから銀行のサービスを利用できる「BANK APP」の導入で同97%増の3億6100万円と大幅に増加した。
Mikatanoシリーズをはじめとした金融機関などの法人向けサービスの導入が進み、提供サービス数は141件まで増加。栃木銀行、京都信用金庫、高知銀行、横浜信用金庫の4つの金融機関でBANK APPと後方事務やマーケティング業務、コンタクトセンターのデジタル化と自動化を支援する地域金融機関向けのクラウドサービス「BANK 顧客サポート」の導入が決定している。
ホームドメインの売上高は、金融関連サービス連携上限数の変更で課金ユーザーが増加し、ストック売上が成長したことから、前年同期比37%増の9億3600万円となった。家計簿・資産管理アプリの「マネーフォワード ME」の利用者数は1430万を突破し、課金ユーザー数は46万を突破し、順調に成長している。
SaaS×Fintech領域で新サービス
説明会の後半では同社が注力するSaaS×Fintech領域における取り組みが紹介された。プリペイド型のBtoB決済である「マネーフォワード Pay for Business」は昨年9月に提供開始した後払い機能など、継続的な機能拡充で発行枚数が20万枚を突破している。
また、ファクタリングサービスの「マネーフォワードケッサイ・アーリーペイメント」は累計取扱高が1650億円を突破したほか、3月にはクラウド会計ソフト「マネーフォワード クラウド会計」と中小企業向けオンラインファクタリングサービス「SHINKIN+」の連携開始、4月にはBPSP(Business Payments Solution Provider)を活用して「マネーフォワード 請求書カード払い for Startup」の提供を開始している。
今後の業績見通しは、2023年の連結売上高は前年比28~38%増の274億9000~296億4000万円、期末のSaaS ARRは同30~40%増の211億8000~228億2000万円の見通し。
第2四半期の売上高は、前年同期比39~43%増の70億7000~73億7000万円、SaaS ARRは同38~42%増の192億9000~198億5000万円を見込み、広告宣伝費は13億5000~15億5000万円の投下を予定している。
辻氏は会見の最後に「従来から変わらず、売上高成長率は30~40%の達成を目指すと同時に、EBITDAの黒字化に向けたマージンを改善していく。また、第2四半期はビジネスドメインの売り上げが想定より強く出ればアップサイドは(下限見通しと上限見通しの差分)はあるだろう。さらに、本社オフィスの増床に伴う一時費用1億3000万円のうち、8000万円の計上を予定している」と締めくくった。