企業のクラウド活用を支援するサーバーワークスは4月14日、AWS(Amazon Web Services)と約4年間に及ぶ戦略的協業に合意したことを発表し、記者説明会をオンラインで開催した。

2000年に創業したサーバーワークスは2009年からAWS専業のクラウドインテグレーターとしてサービスを開始しており、今年でAWS専業ベンダーとして15年目を迎える。85人のSolution Architect Professionalや45人のDevOps Engineer Professionalなど、多くのAWS認定技術者を擁する。

同社はAWSの請求代行や技術サポートを基本サービスとして、伴走型の導入支援や保守・運用、ポリシー管理の自動化、内製化の支援やトレーニングなどをオプションで提供する。

今回の戦略的協業の締結によって、同社は主に「エンタープライズ企業のクラウドインフラ共通基盤の整備」「中小企業(SMB)におけるAWS活用とDX推進」「Amazon Connectによるクラウドコンタクトセンター構築支援」「デジタル人材育成のさらなる強化」の4点に注力する。今後4年間で290億円の新規ビジネス創出を目指す。

  • 戦略的協業の概要

    戦略的協業の概要

クラウドインフラ共通基盤の整備においては、同社が抱えるエンジニアの知見を生かしてAWSの基盤整備に向けた構築サービスを開発する。エンタープライズクラスの企業がAWSを利用する際には、セキュリティコントロールを適切に行うためにAWS Control TowerやAWS Organizationsといった特有の機能を用いる必要がある。しかし、こうしたAWS特有の機能は1社当たりわずか数回しか開発の機会がないため、内製化が難しい。

これに対し、同社はこれまでに複数の企業に対して構築を支援してきており、この知見に基づくサービスを展開している。企業の情報システムの共通基盤をAWSで提供し、必要なセキュリティやガイドライン、ガバナンスに関するサービス手掛ける。なお、特に支援実績が多い製造業や小売業、金融業に注力するとのことだ。

  • エンタープライズ企業のクラウドインフラ共通基盤の整備

    エンタープライズ企業のクラウドインフラ共通基盤の整備

中小企業におけるAWS活用とDX推進については、中小企業に向けたクラウドマイグレーションやモダナイゼーション支援を強化し、AWSの新規利用を促す。AWSをはじめとするクラウドサービスを利用している中小企業の割合は49%ほどとのことで、同社は特にサービス業や製造業のクラウド利用をサポートするとしている。

  • 中小企業(SMB)におけるAWS活用とDX推進

    中小企業(SMB)におけるAWS活用とDX推進

また、Amazon Connectを活用したクラウドコンタクトセンター構築支援サービスでは、同社の専任のチームが対応する。コロナ禍でコンタクトセンターの需要は高まっているとしており、同社は事業の拡大を狙う。

  • クラウドコンタクトセンター

    クラウドコンタクトセンター

サーバーワークスの代表取締役社長である大石良氏は、同社がこれまでに約70社のクラウドコンタクトセンターの導入実績を持つことに触れながら「今よりも2桁~3桁以上のマーケットがあるはず。まだまだポテンシャルを感じる」と述べ、期待を見せた。

  • サーバーワークス 代表取締役社長 大石良氏

    サーバーワークス 代表取締役社長 大石良氏

デジタル人材育成については、同社は現在擁している約760人のAWS認定資格者を、今後4年間でさらに1500人増やす予定だ。CCoE(Cloud Center of Excellence:クラウド活用推進組織)の設立や、インフラ共通基盤の構築に必要なガイドラインの作成を支援できる人材を増やし、顧客企業のDX(デジタルトランスフォーメーション)に寄与する。

  • デジタル人材の育成

    デジタル人材の育成

大石氏はサーバーワークスの役割を、ヒマラヤ登山時の案内人である「シェルパ」に例えた。「クラウド活用やDXを進める上で、さまざまな課題が山積みになっている。だからこそ、当社のような専門的なパートナーを活用してほしい。あくまで山登りの主役はお客様であり、われわれは伴走型の支援を届けたい」と述べていた。

また、アマゾンウェブサービス ジャパンの執行役員である渡邉宗行氏は、「クラウドの活用は過去5年間で大幅に増加している。DXとはデジタルテクノロジーを使うだけではなく、テクノロジーを使って業務をスピーディに改善していくことであり、そのためにもクラウドは最適な選択肢となるはず。サーバーワークスには、エンタープライズクラスの企業が現行のシステムをより安く、使いやすく改善することを支援すると同時に、中堅・中小企業が持つ迅速な要望にも対応してほしい」と期待を語った。

  • アマゾンウェブサービス ジャパン 執行役員 パートナーアライアンス統括本部長 渡邉宗行氏

    アマゾンウェブサービス ジャパン 執行役員 パートナーアライアンス統括本部長 渡邉宗行氏