韓国の政府系シンクタンクである韓国開発研究院が4月9日付で「2023年4月経済動向」を発行したが、通常はない「半導体産業の現況」という項目が特別に設けていることが明らかとなった。

それによると「半導体市場の景気は2022年3月をピークに、その後、同年下半期から急速に落ち込み、かつての経済危機における最低点と似た水準にまで落ち込んでいることが、最近の韓国の景気不振の主な要因となっている」と報告している。また、「2023年2月の韓国半導体産業に関するさまざまな指標は、かつての経済危機の時期と似た水準を示している。同月の国内半導体生産は前年同月比で41.8%減となり、2001年7月(同42.3%減)、2008年12月(同47.2%減)と似た危機的水準とも言える落ち込みを見せている」と述べている。

  • 韓国での月間半導体生産数量の前年同月比増減率

    韓国での月間半導体生産数量の前年同月比増減率(%) (出所:韓国開発技術院「経済動向2023年4月版」)

半導体工場の稼働率も半導体輸出も4割減

2023年2月の韓国における半導体工場の稼働率指数(季節調整済)も直前のピーク比で49.1%下落しており、2001年7月の同44.7%減、2008年12月の同48.0%減と似た水準となっているほか、半導体在庫率(在庫指数を出荷指数で割ったもの)も254.2と、2001年7月の247.6、2008年12月の204.6を上回る値となっている。

なお、2022年の韓国の総輸出額に半導体が占める割合は18.9%であり、2023年第1四半期の半導体輸出額は前年同期比40%減となったほか、第1四半期の輸出総額の減少率は同12.6%のうち、半導体は7.9%分が半導体が占めたという。このところの韓国経済は輸出の大幅な減少から、国内景気の冷え込みが続いていると開発研究院は指摘している。