ニコンは4月12日、医療機器としてデジタルイメージングマイクロスコープ「ECLIPSE Ui(エクリプス ユーアイ)」を開発し、子会社のニコンソリューションズが販売することを発表した。
病理検査を行う臨床現場では、病理医の不足や長時間の観察による使用者の疲労蓄積など、いまだに課題が多いとされる。また、病理診断は判断が難しいケースが多く、同施設または離れた医療機関にいる他の医師に意見を求めることが常態化している。そのため、従来はプレパラート標本の委託先への送付や、受託医師の委託先への移動などが必要で、時間や距離の面で制約があったという。こうした課題を改善すべく、ニコンは、接眼レンズをなくし、ディスプレイ上で観察画面を共有できるECLIPSE Uiの開発を行ったという。
同社は大きな特徴として、標本をセットしてから最大2.5秒で画像をディスプレイに表示できる点を挙げる。これにより、医師が接眼レンズをのぞく姿勢をとる必要がなくなり、病理医の身体的負担を軽減することができるとする。また、ディスプレイ上で観察画面を共有できるため、病理診断に伴うディスカッションも可能となる。さらに、遠隔地にいる医師が観察画像をリアルタイムで閲覧できるため、データ供覧を通じた複数の医師による意見交換も可能だという。
加えて 、標本全体を俯瞰できるマクロ画面と、任意の箇所の詳細を表示するミクロ画面を、同時にディスプレイ表示できる機能があるため、マクロ画面でマーキングした箇所をワンクリックで表示させる操作や2点間距離の測長ができ、観察の効率化に貢献すると同社は説明している。
なお、販売企業の ニコンソリューションズは、病理学に関連する医療従事者や研究者、企業が一堂に会する「日本病理学会総会」(2023年4月13日~15日、山口県)に出展し、本製品を紹介する予定。さらに今後は、米国や欧州を含む海外に順次展開することで、病理診断のワークフロー改善を通じて、病理医を支援していきたいとしている。