エボラニは4月12日、企業が指定したデータで訓練したChatGPTを活用したチャットボット・ミニアプリ作成サービス「anybot for ChatGPT」のリリースを発表した。同日には、同サービスの特徴や今後の展開に関する記者説明会が開かれた。
CSVで社内情報をChatGPTに学ばせる
同社は予約、決済、クーポン配信、顧客分析などの機能を実装したチャットボットをLINEのミニアプリとして構築できる「anybot(エニーボット)」を提供している。
anybot for ChatGPTは、自社の製品・サービス情報を学習させたChatGPT(GPT-3.5ベース)を活用したチャットボットを企業のLINE公式アカウントとホームページ上に実装することができるサービスだ。同サービスでは、OpenAIが開発者向けに提供するAPI版のChatGPTを利用している。
同サービスで実装したチャットボットでは、ユーザーの質問に対してテキストだけでなく画像や動画での回答も可能だという。
自社にまつわる情報はCSVデータに整理し、同サービスの管理画面からアップロードすることでChatGPTに学ばせることができる。また、トレーニング用のCSVテンプレートも用意されている。
例えば、エボラニはサービスリリース前の実証実験で、anybotの概要や機能一覧をCSVに登録し、チャットボットを作成した。
同社は2カ月間、無料で同サービスを提供し、導入企業とともにニーズや改善案などを探索する想定だ。3カ月以降の利用料金は、ユースケースに応じて個別相談となる。
なお、CSVによるデータの取り込みに別途料金はかからず、データ量の制限もない。ただし、anybotの別機能と連携して利用する際は別途料金が発生する。
NGワードやフィルターで誤った回答を回避
ChatGPTについては、プロンプトに入力した質問に対して、誤った情報を交えた回答を生成してしまうことが各所で指摘されている。
その点に対応するため、今回リリースされた同サービスではNGワードを含んだ回答の排除や、嘘の情報を提供しないようなフィルタリング、特定ユーザーの質問応答のログを参照した回答などが行えるように設定できるという。
エボラニ 創業者 代表取締役のソウ・ユ氏は、「ChatGPTに自社製品に関するトレーニングを行うことで、チャットベースのFAQなどを組み込むことも可能だ。小売り、保険、教育、携帯電話の販売業などでのエンドユーザーからの問い合わせ対応や、営業担当者の代理での資料提供、社内の研修や問い合わせにも応用可能だと考える」と語った。
このほか、ChatGPTの企業内での活用では、パナソニック コネクトのように全社導入に踏み切った企業もあれば、社内の情報流出などセキュリティを懸念して業務利用を控える企業も多い。
anybot for ChatGPTで利用されているAPI版のChatGPTでは、会話の履歴データを保存されず、APIの利用にあたってもAPIアクセスキー以外の情報は不要だという。
「エンドユーザーからの質問に対してチャットボットで回答する際は、企業から提供されたデータは必要に応じて利用される。具体的には、企業からCSVで登録されたデータは弊社のサーバで管理しており、チャットボットの質問内容に応じて必要最低限のデータを抽出し、質問のテキストと組み合わせてChatGPTのサーバにAPI連携する方式にしている」とユ氏は説明した。
同社は今後、Microsoft Teams、Slack、Chatworkなど企業で利用されるチャットツールのほか、InstagramやFacebookなどSNSのチャット機能と同サービスとの連携を予定している。