マイナビは3月14日~17日、オンライン・イベント「TECH+EXPO 2023 Spring for ハイブリッドワーク 『働く』を再構築する」を開催した。本稿では、埼玉大学経済経営系大学院 准教授の宇田川元一氏が登壇した2日目の基調講演「対話を通じた企業変革の構想と実践」の内容をお届けする。

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企業が「慢性疾患」を抱える原因

対話に基づく企業変革を研究している傍ら、企業のイノベーション推進などにもアドバイザーとして関わる宇田川氏は、冒頭「企業全体の変革に、対話が重要なキーになると考えている」と切り出した。

企業変革と言うと、大きく落ち込んだ業績をV字回復するといったイメージが強い。だが同氏は、「そういう(急激に業績が悪化した)状況にある企業は、そんなに多くはないのでは」と疑問視する。むしろ、徐々に業績が悪化し先行きが明るくない、「病気で言うと急性疾患ではなく、慢性疾患を抱えているような会社が少なくないのではないか」と見る。

「慢性疾患と同じで悪化の原因ははっきり分からないため、やれることを見つけて、(完治ではなく)寛解を目指すタイプの改革が今、必要だと思います」(宇田川氏)

だが現実は、30年、40年前のビジネスモデルや事業内容から脱却できない、場合によっては100年同じビジネスモデルが続いているようなケースもある。

徐々に業績が悪化するケースは、なぜ変革が難しいのか。宇田川氏はその要因を、日々の変化量の少なさだと指摘する。

「だから原因がよく分からないし、決め手に欠けるのです」(宇田川氏)

  • 組織の急性疾患と慢性疾患の違い

「慢性疾患」改革のキーは「対話」にあり

しかし、問題になっている事象を見ていけば、解決策は見えてくる。

例えば、新規事業をなかなかつくれない組織では、部門間や上下の連携が非常に悪い場合が多いと宇田川氏は言う。その解決には「対話」がキーになるそうだ。

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