デロイト トーマツ グループは4月7日、日本の上場企業を対象に実施した「企業のリスクマネジメントおよびクライシスマネジメント実態調査」2022年版にの調査結果を発表した。

  • 日本国内における、優先して着手が必要と思われるリスクの種類

    日本国内における、優先して着手が必要と思われるリスクの種類

このレポートは、デロイト トーマツ グループが2022年10月中旬~10月末、日本の上場企業約3,500社を対象にアンケート形式で実施した調査結果に基づく。

国内で優先的に対処すべきリスクをたずねると、前回2位だった「人材流失、人材獲得の困難による人材不足」が1位となった。次いで、2位「原材料・原油価格の高騰」、3位「異常気象・自然災害」となった。1位の「人材不足」に関しては、昨年に引き続き人材流動性の高まりから多くの企業が対応を急務としており、特にサービス業では、コロナ禍からの需要回復が見込まれることから前回29.8%から今回は60.7%と急増した。

  • 海外拠点における、優先して着手が必要と思われるリスクの種類

    海外拠点における、優先して着手が必要と思われるリスクの種類

また、「原材料ならびに原油価格の高騰」が前回5位から2位へ上昇。深刻な材料不足や原油の需要増、一部産油国の生産停滞もあり、COVID-19に加えて政治情勢の影響がサプライチェーンにも波及している。特に製造業では前々回の8.5%、前回の30.0%から今回は44.5%と急激に上昇した。

  • 2021年、2022年にクライシスを経験した企業において経験したクライシスの種類と発生時期

    2021年、2022年にクライシスを経験した企業において経験したクライシスの種類と発生時期

また、昨今の不安定な国際情勢を踏まえた地政学リスクの高まりを背景として「中国・ロシアにおけるテロ、政治情勢」が海外で1位となった。特に情報・通信業においては、前回の0%から今回25.1%となっており、地政学リスクの高まりは現実空間のみならず仮想空間におけるリスクにも大きな影響をもたらしているという。

  • 優先して着手が必要と思われる対策

    優先して着手が必要と思われる対策

国内本社が2021年から2022年にかけて経験したクライシスの種類を確認したところ、「自然災害関連」が2021年は16.0%、2022年は14.6%、「経済環境関連」が2021年は8.5%、2022年は14.6%とともに最多となった。特に小売・流通業においては、2021年の8.7%から2022年は21.7%となり、COVID-19による消費の巣ごもり化を受け、急速に拡大、変化する配送需要や、加熱する価格競争への対応についての危機感が現れたものとデロイト トーマツはみている。

優先して着手が必要と思われる対策については「リモートワークの推進」(38.3%)が引き続き1位。次いで「危機管理体制強化」(29.0%)、「ペーパーレス化の推進」(24.2%)、「業務プロセスの標準化」(21.0%)となった。また、前回9.0%であった「原材料の調達先の分散」が14.6%と増加しており、原材料の調達先の分散といったサプライチェーンに関する対策が挙げられた。