オルツとファストドクターは4月6日、オルツが保有する大規模言語処理モデル「LHTM-2」を用いて、医師国家試験問題の合格基準を満たすAI(Artificial Intelligence:人工知能)の共同開発に成功したことを発表した。
今回両社が開発したAIは、学習の範囲を医学部の教科書や医学書、過去問題集、模試などに限定している。さらに、臨床医による品質チェックや画像認識を組み合わせ、禁忌問題(答えを誤った場合、総合得点が合格基準に達していても不合格となるような問題)にも正解できるようになったとのことだ。
このAIは、2022年度医師国家試験の合格基準を超える82%の正答率を記録し、全400問のうち約10問設置されている禁忌問題の誤答を回避できる性能を示したという。
最近多くの話題が出ている「ChatGPT」に対し、医学生が医師国家試験の過去問題を解かせた際は、正答率は55%と合格基準は達しなかった。一方で、ChatGPTは特定の分野に特化した学習をしていないにも関わらず、アメリカの医師資格試験やMBA(経営学修士)試験において合格ラインに達したとの研究も相次いでいる。
ChatGPTやLHTM-2のような対話型AIが、将来的には医療現場において医師の診療を支援できるようになると期待される。