リコーとSansanは4月6日、中堅・中小企業の経理業務のデジタル化を目的とする業務提携に合意したことを発表した。Sansanのインボイス管理サービスである「Bill One」をベースに両社が共同企画した新サービス「Bill One for RICOH」を、リコージャパンが4月中旬ころから提供する。

ユーザー同士のネットワーク拡大を狙うSansan

Sansanが提供するBill Oneは、郵送やメールの添付などさまざまな形式で届く請求書を電子データにし、オンラインで管理できるようにするクラウドサービス。郵送の請求書は、代行受領や代理スキャンにも対応する。

  • Bill Oneのサービス概要

    Bill Oneのサービス概要

同サービスを利用することで、総務部門などで発生する、請求書を部門ごとに振り分ける作業が不要となる上、請求書を処理する担当者や経理担当者がオンライン上で請求書の内容を確認できるため、請求書を処理するために出社する必要もなくなるといった利点を得られる。

受領した請求書はクラウド上で一元管理でき、確認が滞っているフローや担当者が明確になる。加えて、適切なタイミングで確認を促せるようになり、効率的な請求書処理業務と月次決算の加速を後押しするとのことだ。経理部門だけでなく、組織全体がメリットを享受できるサービスだという。

  • Bill One導入のイメージ

    Bill One導入のイメージ

Sansanでは、Bill Oneを導入している企業とそれらの企業に請求書を送付する企業、つまり、同サービスを介して請求書のやり取りを行う企業のつながりを「インボイスネットワーク」と称している。インボイスネットワークを拡大することで、同社は迅速な請求書の発行・受領フローと業務の簡略化を狙う。

Bill One Unitのゼネラルマネジャーである大西勝也氏は「インボイスネットワークが拡大することで、企業の月次決算はどんどん加速するはず。将来的には、インボイスネットワークを通じてBill Oneを介した請求業務が日常的に行われるような状態にしたい」と、展望を語った。

  • Sansan 執行役員 Bill One Unit ゼネラルマネジャー 大西勝也氏

    Sansan 執行役員 Bill One Unit ゼネラルマネジャー 大西勝也氏

現在までに、Bill Oneのインボイスネットワークには約6.1万社が参画しているという。Sansanは中堅・中小企業向けの販売網に強みを持つリコーグループとの業務提携により、インボイスネットワークのさらなる拡大を目指す。

「日本国内の企業数は約200万社とされるので、国内だけでもまだ拡大の余地がある。リコーと共に日本企業のDX(デジタルトランスフォーメーション)を加速していきたい」(大西氏)

  • Bill Oneのインボイスネットワーク

    Bill Oneのインボイスネットワーク

リコーは業務支援プラットフォームを拡充する

リコーは企業間の商取引で行われる受発注業務および請求業務の電子化や、業務効率化をサポートするトレードエコシステム事業を推進している。これまで、「トレード帳票DXシリーズ」として、「RICOH 受領請求書サービス」「RICOH 受領納品書サービス」「MakeLeaps(メイクリープス)」などを展開し、企業のバックオフィス業務の効率化を支援してきた。

今回、リコージャパンはトレード帳票DXシリーズのラインアップにBill One for RICOHを加え、自社製品と同様の位置付けで中堅・中小企業向けに展開する。同社が保有する約7900人のセールスリソースと提案ノウハウを生かして、導入企業のDXを後押しする。

近年のリコーグループはデジタルサービス事業に注力している。2022年10月にはサイボウズと共に「RICOH kintone plus」の展開を開始したほか、「RICOH 証憑電子保存サービス」と連携することで電子帳簿保存法の要件(電子取引要件、スキャナ保存要件)に対応できるA3フルカラー複合機の販売を開始した。どちらも、中堅・中小企業の業務プロセスの効率化を目的としている。

  • リコーが手掛けるデジタルサービス

    リコーが手掛けるデジタルサービス

今年10月から本格化するインボイス制度を前に、リコーグループはトレード帳票DXシリーズにより、商取引の業務プロセスのデジタル化と法令対応を支援する。今回、Bill One for RICOHをラインアップに加え、シリーズを拡充する。

  • リコーは「トレード帳票DXシリーズ」を拡充する

    リコーは「トレード帳票DXシリーズ」を拡充する

新サービスは従来のBill Oneの基本機能をベースにしながら、リコーのサービスユーザーが利用しやすくなるような専用のプランも追加するという。オフィスと現場をつなぐリコーのプラットフォーム「RSI(Ricoh Smart Integration)」とも連携するとのことだ。

  • RSIとの連携イメージ

    RSIとの連携イメージ