TSMCは、同社のグローバル展開を支援し、海外事業の実効性を加速させるため、4月1日付けで海外事業を統括する「海外營運辦公室(Overseas Operations Office:OOO、日本語の訳としては“海外運営室”といった表現となる)」を新設すると社内向けに発表した模様であると複数の台湾メディアが報じている。
新設されたOOOは、TSMCアリゾナと日本の熊本(JASM)のファブの集中的な統括・管理を担当するという。既存の中国南京と上海のファブは含まれていない。OOOのトップは3人体制で、事業開発担当の上級副社長であるKevin Zhang氏、ファブオペレーション担当の上席副社長であるY.P.Cheng氏、アリゾナ事業を担当する上級副社長であるRick Cassidy氏があたる。
OOOでは、社内の事業企画、資材管理、情報技術、財務、法務、人事などさまざまな組織のプロフェッショナルが連携し、日米における事業の組織効率化を加速させるという。
またTSMCは、同じ4月1日付けで海外事業に関するトップ人事を行った模様である。それによるとTSMCアリゾナのゼネラルマネージャー兼CEOであるRick Cassidy氏が会長に就任し、エグゼクティブディレクタに海外ファブオペレーション担当副社長であるYinglang Wang氏が就任したほか、ゼネラルマネージャーは、現在の上級副ゼネラルマネージャーであるBraian Harrison氏に引き継がれる模様である。さらに、TSMCの熊本工場(JASM)のトップ人事として、台湾でのウェハファブオペレーションII(第2)担当副社長であるY.H.Liaw(廖永豪)氏が従来の職務に加えてCEOを兼務し、ゼネラルマネージャー(日本企業内の肩書は代表取締役社長)として堀田祐一氏(ソニー出身)が継続する体制となるという。
Y.H.Liaw氏は、1988年にTSMCに入社して以来、Fab 5、Fab 8、Fab 15A、および Fab 15Bの工場長を含む、TSMC のさまざまなファブで運用経験を蓄積してきた人物で、Fab 15Aの責任者として、研究開発から製造へのスムーズな技術移転を可能にする「スーパーマニュファクチャリングプラットフォーム」の構築を進め、早期生産立ち上げを行ったきたほか、Fab 15Bの責任者として、2018 年にTSMCが他社に先駆けて7nmプロセスによる大量生産を実現するのに貢献したことなどで知られている。