NANDサプライヤ各社は減産を続けているが、それでもエンドマーケットの需要が弱く、供給過剰が継続しており、2023年第2四半期もNANDの平均販売価格(ASP)は前四半期比で5~10%下落するとの予測をTrendForceが発表した。

TrendForceでは、需給バランスが保たれるようになるにはサプライヤ各社がさらなる減産を行う必要があるとしており、需要が安定してくればNANDのASPは2023年第4四半期に回復する可能性があるとしているが、需要が予想よりも弱い場合はASPの回復には相当時間がかかる可能性があるともしている。

  • 2023年第1四半期(推定)および第2四半期(予測)のNANDカテゴリ別平均販売価格

    2023年第1四半期(推定)および第2四半期(予測)のNANDカテゴリ別平均販売価格 (出所:TrendForce、2023年3月)

製品カテゴリ別に動向を見ると、PCクライアントSSDは在、PC OEMは在庫のほとんどを吐き出している一方、サプライヤは、PCIe Gen 3 SSDの在庫一掃にに向けて価格引き下げを行っている。また、PCIe Gen 4 SSDの価格も、引き続き下落圧力がかかっているという。さらに2023年第1四半期のQLC製品の継続的な価格下落がTLC製品の価格も引き下げた結果、2023年第2四半期の価格下落余地はほとんどなくなったとしており、需要の回復は不透明ながら、TrendForceでは第2四半期のPCクライアントSSD価格は前四半期比5~10%減となると予測している。

エンタープライズSSDについては、中国のクラウドソリューションプロバイダ(CSP)からの需要が着実に増加するとTrendForceでは予測している。また、第4世代 AMD EPYCプロセッサ(開発コード名:Genoa)の登場により、エンタープライズSSDの出荷促進が期待される。しかし、供給が需要を上回るため、価格は第2四半期も引き続き下落すると予想されるため、TrendForceでは第2四半期のエンタープライズSSDの価格下落率が同8~13%減となると予測している。

eMMCについては、小容量品の需要は安定している一方、大容量品の需要はノートPCやスマートフォン(スマホ)市場の低迷の影響を受けている。モジュールサプライヤが2023年第1四半期に積極的に価格を引き下げたため、第2四半期の下落余地は少ないとみられるほか、大容量品は同容量のUFSの価格と比較されるため、同四半期のeMMCの価格は同5~10%ほど下落するとTrendForceでは予測している。

そのUFSは、大容量品の提供が推進しされており、スマホのストレージ容量の向上を促している。UFS 4.0の導入は、多くの主力スマホモデルでストレージ容量が増加することにつながるほか、スマホ部品の在庫レベルはほぼ通常レベルに戻っていることから、サプライヤ各社は2023年下半期のセールとピークシーズンの需要に備えて在庫を確保するかどうかを議論している段階にあるという。そのためTrendForceでは、NANDサプライヤ各社は、UFSの価格引き下げを進める可能性があり、結果として第2四半期の価格は同8~13%減になるとTrendForceでは予測している。

このほか、ウェハについては、モジュールサプライヤの在庫レベルが正常に戻ったこと、ならびにNANDサプライヤが次世代プロセスへの移行を遅らせ、ビット出荷量を制御することに成功したこと、そして減産により、契約価格はキャッシュコストまで下がっていると見られ、これ以上の損失を避ける動きを見せる模様だとしている。