日立製作所(日立)は3月31日、鉄道情報システム(JRシステム)が開発するバーチャル駅員と会話しながらきっぷ購入ができる券売機「AI自動応対機能」向けに、日立独自の対話型AIエンジンを提供し、2022年2月からのJR西日本管内における複数回の実証を経て、3月18日に大阪駅に新規開業した「うめきたエリア」に導入されたことを発表した。

  • 「みどりの券売機プラス+AI」の画面例

    「みどりの券売機プラス+AI」の画面例

同機能は、きっぷ購入の際の窓口係員との会話を、券売機で再現し、バーチャル駅員とのスムーズな会話によるきっぷ購入を実現するもの。これにより「みどりの券売機プラス+AI」端末では、画面上に投影されるバーチャル駅員との音声会話を通じて、きっぷの購入が可能となる。

券売機の操作に不慣れな利用者でも、音声会話による操作できっぷを購入でき、タッチパネルと音声での操作を併用可能。会話の内容は券売機上部のモニターに文字で表示され、耳や言葉が不自由な利用者もサポートするほか、バーチャル駅員で対応しきれない場合、それまでの接客内容をコールセンターのオペレータに引き継いで接客応対が可能だという。

  • JRシステム「AI自動応対機能」の概念図

    JRシステム「AI自動応対機能」の概念図

また、日立の「多言語対話プラットフォーム」内の音声認識を活用し、音声で入力された内容をテキスト化し対話エンジンにつなげることで、事前に登録された想定問答に基づいた回答を提示。読み方が共通する駅名・地名などに対しても、画面上で複数の候補を提示するということだ。

音声認識や対話のAIエンジンは鉄道・交通向け用語に対応し、実際の駅員とのやり取りを想定したシナリオや言葉の言い替えなども考慮したチューニングを施している。利用頻度が高まるにつれて、蓄積される対話ログによりAI エンジンの継続的な精度向上も図れるとしている。

日立は今後、対話エンジンの使いやすさの改良や、音声認識エンジンさらなる音声認識精度により、JRシステムが進める多言語対応やサービス拡充など、AI 自動応対機能の向上に貢献していくという。