NTTコミュニケーションズ(NTT Com)は3月30日、ローカル5G(第5世代移動通信システム)において、RAN(Radio Access Network:無線通信網)でのスライシング技術(RANスライシング技術)の検証に成功したことを発表した。

RANを含む5GネットワークからWAN(Wide Area Network:広域通信網)までのエンド・ツー・エンドスライシング検証を実施したところ、異なるネットワーク要件が必要なIoT(Internet of Things:モノのインターネット)端末を複数台接続し、QoS(Quality of Service)制御が可能なことを確認したという。

  • 実証実験の概要図

    実証実験の概要図

RANスライシング技術は論理分割とQoS制御の2つの技術要素で構成される。同技術を使用しない場合には、同一無線エリアに存在する端末で全ての無線リソースをシェアするため、本来は優先させるべき映像伝送などの通信が他の通信に圧迫され、遅延やデータ欠落が発生する課題がある。

これに対し、RANスライシング技術は論理的に通信特性ごとに無線リソースを分割することで、通信品質を確保し、さらには分割された無線リソース内でQoS制御を行うことで、細やかな制御が可能だ。

  • RANスライシングとQoS制御

    RANスライシングとQoS制御

なお、同社はこれまでに、5GネットワークにおいてRAN以外のスライシング技術に対しても検証してきた。今回、RANスライシングが実現できたことで、WANにおけるトラフィック制御と連携してエンド・ツー・エンドスライシングとQoS制御が可能になったとしている。

  • RANスライシング技術によるエンド・ツー・エンドでのQoS制御

    RANスライシング技術によるエンド・ツー・エンドでのQoS制御