セールスフォース・ジャパン(Salesforce)は3月29日、日本のビジネスリーダーを対象に実施した調査「Untapped Data Research」に基づくレポートを公開した。ビジネスリーダーはデータ活用がビジネスにとって重要であると認識しているものの、大多数がそれを活用できていないことが明らかになった。

  • 大多数の企業は重要な意思決定のためにデータを十分に活用できていない

    大多数の企業は重要な意思決定のためにデータを十分に活用できていない

この調査結果は、シンガポール、インド、オーストラリア、日本、イギリス、アメリカ、フランス、ドイツ、ブラジル、メキシコのあらゆる規模・業種の企業におけるビジネスリーダーや意思決定者を対象に、SalesforceとYouGovが共同で2022年9月に実施したグローバル調査に基づく。

ビジネスリーダーの84%が自社の意思決定においてデータが重要であると回答した。また、55%がビジネス上の会話において、データが不確実性を減らし、より正確な意思決定を行うのに役立つと回答し、日本企業はデータを使ったビジネス上の意思決定に価値を見出している。

経済状況に合わせた価格設定を決定するためにデータを利用していないビジネスリーダーは84%で、新規市場参入時の戦略立案にデータを活用している企業はわずか22%に過ぎず、大多数の企業は、重要なビジネス上の意思決定を行うために、実際にはデータを利用していない。

組織のダイバーシティ(多様性)とインクルージョン(包括性)関連の方針について、88%のビジネスリーダーがデータを活用しておらず、気候変動の目標策定の指針としてデータを活用しているビジネスリーダーはわずか4%と、データを活用して企業価値を高める機会も逸している。

また、ビジネスリーダーの51%が、データにより人々はビジネスに関連する重要な事項に集中できると考えており、61%はデータが意思決定の促進に役立つと考えている。 53%がデータはビジネス上の会話において信頼を築くと考え、46%がデータはビジネス上の会話における個人的な意見やエゴの影響を最小化するのに役立つと考えている。Salesforceは、データを正しく統合し活用すれば、顧客と従業員の双方に効率と信頼をもたらす可能性が広がるとしている。

  • ビジネス上の決定と信頼の構築を促進するデータ

    ビジネス上の決定と信頼の構築を促進するデータ

日本のビジネスリーダーは、流入するデータ、その最適な運用方法に関する知識、そして今後の戦略的投資に向けたデータの活用方法について苦心している。ビジネスリーダーの31%がデータに関する理解不足を指摘し、その原因を複雑なデータや不十分なアクセスとしている。ビジネスリーダーの28%が、データからインサイトを生み出す能力の欠如を指摘し、23%は2026年までに2倍以上に増えると予想されるデータ量の対処に課題を抱えている。

  • データ価値の解放を阻む要素

    データ価値の解放を阻む要素

これらの懸念に対処するため、48%の企業が、従業員向けのデータスキル開発および研修への支出を継続または増額する予定であると回答した。同社は、従業員向けのデータリテラシー研修を実施しデータカルチャーを確立することで、ビジネス目標をサポートし、厳しい経済情勢下でのレジリエンスを向上させることができるとしている。

SalesforceのCIOであるフアン・ペレス氏は、次のように述べている。「ビジネスリーダーは、現代で最も厳しい経済状況に直面していますが、より良い意思決定のための潜在的な優位性、すなわちデータを有しています。真のインサイトを導き出す秘訣は、データと分析を融合させることです。データ、分析、そして必要なデータスキルを組み合わせることで、企業はテクノロジーへの投資を最大限に活用し、ビジネス戦略の推進と顧客の信頼強化につながる機会を見いだせます」