ディーカレットDCPは3月29日、同社が事務局を務めるデジタル通貨フォーラムの行政事務分科会において、東京都の協力を受けて、デジタル通貨を使用した事業者向け補助金に関する実証実験を行ったと発表した。

  • 実証実験におけるデジタル通貨とデータの流れ

今回の実証実験は3月28日に、都の補助事業を模して、事業者に対する補助金の交付および事業者から外部委託者向けの経費の支払いを、デジタル通貨である「DCJPY」(仮称)を使用して行った。

実験で都は、ディーカレットDCPが提供する二層構造デジタル通貨プラットフォームを使用して、都の指定金融機関であるみずほ銀行の普通預金口座を裏付けとしたデジタル通貨を発行し保有した。同様に、補助対象事業者も自らの普通預金口座を裏付けとしてデジタル通貨を発行し保有した。

都から事業者への補助金(交付決定額)は、デジタル通貨で交付した。事業者は交付を受けたデジタル通貨を自らの銀行口座で償却・現金化することはできないという。

事業者は都から事前に交付決定を受けた補助対象事業に要する経費を、デジタル通貨で支払う。支払いは、補助率に応じて都からの補助金で支払われる額および事業者の自己負担額をそれぞれ自動算定し、行った。

事前に交付申請書に記載し都の承認を得た外部委託先には支払い可能だが、それ以外に支払うことはできないとのこと。委託先は、受け取ったデジタル通貨を銀行預金口座で償却・現金化できるという。

支払いの都度、支払金額・支払日・支払先・経費項目などの情報をブロックチェーン上に記録し、補助金の利用状況と共に都と事業者間で共有し、両者は常時確認できるとのこと。事業終了後に、これらの情報は事業報告の関連データとして出力し、都に提出する。

そして都は実績報告書を審査し、交付額を最終決定する。確定交付額と事前に交付した見積額との間に差額が生じた場合、清算処理を行う。実証実験で用いた仕組みにより、事業者は、補助金に関する東京都への報告や諸手続きに関する事務負担の軽減が期待できるという。また都は、資金使途の制御や事業報告に関連するデータの自動作成により、補助金の審査や支給事務に関する負担の軽減が期待できるとしている。

参加者は、トッパン・フォームズ(行政事務分科会幹事)、TIS(ウォレット・アプリなどを提供)、みずほ銀行(デジタル通貨の発行・償却に関する協力・支援)、東京都(実証実験場所の提供、実証実験の実施に関する協力・支援)、ディーカレットDCP(デジタル通貨プラットフォームを提供)の各者。