竹中土木、演算工房、日鉄ソリューションズ、リコーの4社は3月28日、トンネル工事にローカル5G(第5世代移動通信システム)とバーチャル空間での360度ライブストリーミングを活用して、遠隔地からリアルタイムで施工状況を自由視点で確認できるシステムを構築したことを明らかにした。

この取り組みは、国土交通省が目指すデジタルツインの実現に向けたものだという。福島県下郷町にある国土交通省東北地方整備局発注の「国道121号湯野上2号トンネル工事」において、1月から開始している実証実験でも使用し、国土交通省の実証確認を得たとのことだ。

トンネル坑内では携帯電波が入らず通信手段が限られているため、内部の状況を詳細に確認する際は現地での目視確認が必要だ。トンネル工事の施工においては、掘削における支保構造の仕様を決めるために、地層の変化ポイントごとに地盤の状態を確認する「岩判定」を実施する。岩判定は発注者や現場監督など関係者全員が「切羽(きりは)」と呼ばれるトンネル工事の掘削現場まで移動して行うため、人員の移動負荷や物理的な手間が課題となっていた。

4社はこうした課題を解決するため、4K対応の360度カメラとVR(Virtual Reality)ヘッドセット、ローカル5G無線通信システムを活用して、遠隔地からリアルタイムでトンネル工事現場の施工状況を自由視点で確認できるシステムを構築した。インターネットを通じて、遠隔地にいる発注者も同様の確認が可能となる。

  • システム構成

    システム構成

  • トンネルに設置したローカル5G基地局

    トンネルに設置したローカル5G基地局