電通デジタルは3月28日、リモートワーク中の従業員(リモートワーカー)の表情をAI(人工知能)で分析する「INNER FACE」を開発し、福島県立医科大学・早稲田大学に在籍する研究者を始めとする心理学・人間科学の研究者4人と産学共同で、「リモートワーカーの表情とメンタルヘルスの相関性を観測する」研究を開始したと発表した。
新ソフトは、リモートワークで使用するPC搭載カメラやWebカメラによる表情分析を通じ、リモートワーカーの日々の感情推移を客観的に把握する。加えて、メンタル・ヘルスケア・テストを定期的に実施し、自身のコンディションを的確に把握可能になるとのこと。
表情データは、Microsoft Azureの顔認証ソフトウェアであるface.apiを使用して1秒に1度計測し、エクマン理論に基づく怒り・嫌悪・恐れ・喜び・悲しみ・驚きの基本6感情を取得する。主観気分の自己評価を定期的に実施すると共に、抑うつテストにPHQ-9を使用して、表情と主観気分、抑うつの相関関係を明らかにしていく。
感情の推移は時間帯や曜日で比較でき、計測を重ねるほど、自身の感情の変化の傾向を精度高く把握できるとしている。映像データは一切取得・保存せず、PCで数値化した表情データを利用して分析するため、映像データの漏洩リスクも無くプライバシーに配慮している。
同社は今後、4人の研究者と共同でINNER FACEを使用する実証実験を実施し研究データを蓄積することで、表情分析から異常の予測などメンタル・ヘルスケア領域での利用を推進するとのことだ。