一般的に利用されている公的なデータとは別に今まで活用されてこなかったSNSやPOSデータ、位置情報などの「オルタナティブデータ」の利活用に注目が集まっている。三菱総合研究所(以下略、MRI)は、オルタナティブデータである家計簿アプリデータやPOSデータを活用した時系列モデリング方法"ナウキャスティング"により、リアルタイムの社会・経済を可視化する技術の検証を行い一定精度の結果を得られたことを発表した。
検証には、マネーツリー社の家計簿アプリデータ(内閣府委託事業「令和3年度『リアルタイムデータを活用した経済動向分析(家計簿アプリデータ活用)』」)と東芝データの「スマートレシート」のPOSデータを活用。CTI(Consumption Trend Index)ミクロ(世帯消費動向指数)とアプリの消費支出額の対前月比推移を比較検証し、長期的トレンドで似た動きをする可能性が確認できたという。
POSデータでは、「1ユーザー当たり」の購買データと公的統計である家計調査の「2人以上世帯」での食料品消費支出額の対前週比推移を比較、高い精度で相似傾向があることが確認されたという。これらの検証により公表までに1、2カ月の遅れが生じる公的統計より先に、経済状況をリアルタイムで把握できることが実証されたとする。MRIでは、データにもとづき科学的に社会や企業を動かしていく「データ駆動経営」を提唱しており、今回の実証はその試みの一つとして行われている。今後、検証の知見を活用し、データ保有事業者のハブの役割を果たすべく技術開発をすすめていくという。