練馬区と富士通Japanは3月27日、両者共同で住民税と国民健康保険料の滞納整理にAIシステムを活用する2つの実証実験を開始することを発表した。滞納者の財産調査業務へのAI活用は、全国で初となる。

住民税などの滞納整理では、滞納者の所得や資産等の有無を見極めるため、地方税法に基づきさまざまな財産調査を行う必要があり、滞納者の過去の調査履歴等の多岐にわたる情報を整理して、調査先を的確に絞るにはベテラン職員が持つノウハウの活用が不可欠となっている。しかし、職員は3年から4年で人事異動することが多く、ベテラン人材の不足が課題にあるという背景のもとで今回の実証実験が行われる運びになったという。

実証実験では、滞納者の所得や税務情報、過去の調査履歴等のデータと、ベテラン職員の財産調査の進め方をAIに繰り返し学習させ、調査先とすべき銀行的や保険会社等の候補を提示する支援システムを開発することで、滞納案件1件あたり職員が平均約30分要していた調査先を決める判断を約5分に短縮することを目指す。

また、過去の財産調査の作業記録をもとに、調査時間や作業工数の相関関係をAIに学習させ、案件の難易度と職員の習熟度をAIが推定し、職員の習熟度から作業効率や負担を考慮して案件の割り当て候補を提示することで、職員ごとの業務効率の最適化を目指す。

練馬区では実証実験の結果を踏まえ、住民税などの収納率と徴収額を向上させ、4億円以上の徴収効果を目指すとともに、住民間の税負担の公平性を高める方針。