電通デジタルとディー・エヌ・エー(DeNA)グループでヘルスケア事業を展開するDeSCヘルスケアは3月24日、製薬・ヘルスケア企業を対象としてリアルワールドデータ(以下、RWD)を活用したソリューションの提供を開始したことを発表した。
両社は今回の協業により、RWDを活用して製薬・ヘルスケア企業のマーケティング戦略立案やコミュニケーション開発まで一貫して支援するという。具体的には、DeSCヘルスケアがRWDを解析し、電通デジタルは患者が実際に医療機関をどのように受診したのかや、そこでの診断結果、処方された薬などのペイシェントジャーニーを精緻化する。
さらに、治療に関わるペイシェントジャーニーの中で障壁となり得るペインポイント・ゲインポイントを特定し、患者に個別化された疾患啓発やアプリを使った患者支援プログラムなど、アウトプット施策におよぶコンサルティングを提供するとのことだ。
RWDとは、患者個人の健診データやレセプトデータ、ライフログなどの総称であり、デジタルデータを活用した医療や健康サービスの拡充に向けた活用が期待される。RWDはこれまでにも製薬・ヘルスケア企業において研究開発領域で利用されてきたが、データのクレンジングや分析が煩雑であり、データを分析および活用する人材が確立されていないといった理由から、医師や患者などの顧客基点でのマーケティング活動にはまだ十分な活用がされていない。
そうした中、電通デジタルは医師と患者をつなぐ治療体験にフォーカスし、より良い治療体験の提供を目指す統合ソリューション「DDMEX(Dentsu Digital Medical Experience Transformation)」を昨年から展開している。医師と患者のニーズやインサイトを可視化し、デジタルを活用したソリューション提供やコミュニケーション設計などを手掛ける。
一方DeSCヘルスケアは健康保険組合や自治体などに対し、累計約100団体、約480万人に利用されるヘルスケアエンターテインメントアプリ「kencom」を提供している。同アプリなどから得られた情報をもとに、特定の個人を識別できないよう匿名加工した情報など、RWDの利活用に積極的だ。