Sansanは3月23日、法務以外の職種で契約締結業務に関わるビジネスパーソンを対象に実施した「契約リテラシーに関する実態調査」の結果を発表した。これによると、法務以外の職種の契約に関するリテラシーは高くなく、多くの人が法務部門に依存しているという。
同調査は、同社が提供する契約DXサービス「Contract One」を通じ、法務以外の職種で契約締結業務に関わる全国のビジネスパーソン900人を対象にして、3月3日~6日にかけてオンラインでのアンケートにより実施したもの。
契約書の内容を「すべて自分で確認している」との回答は42.3%だった。企業規模別に見ると、「すべて自分で確認している」という回答者は大企業では31.7%、中堅企業は33%、中小企業は62.3%であり、企業規模が大きくなるほど内容の確認が法務任せにする傾向がある。
契約書の内容確認を法務担当に任せていると回答した462人に理由を尋ねると、「法務担当のレビューが必要なプロセスなので最初から法務に任せる方が効率がよい」が43.9%で最も多く、「自分では理解できない内容のため」が40.7%で続く。
この結果から、契約書の確認作業が法務担当に集中し業務負荷になっている可能性を、同社は推測する。
契約書の内容について全部または一部を自分で確認しているという725人に、どの程度理解しているか質問したところ、「一部理解していない点がある」が46.6%、「ほとんど理解していない」が3.7%だった。契約書を自分で確認していても、約半数は内容について理解していないのが実態だ。
契約書の内容で理解できていない箇所の対処方法では、38.9%が「自分で調べずに法務担当に任せている」と回答した。企業規模別に見ると、中小企業では28.2%なのに対して大企業では46.8%と、企業規模が大きいほど自分で調べず法務に任せている。
自身が関わった契約内容の詳細をどの程度把握しているか尋ねると、把握していないもののでは「社会情勢・為替・法改正によるリスクに関わる条項の有無」(26.4%)、「自動更新の有無」(18.1%)、「自社に不利な条項の有無」(17.9%)が上位に並ぶ。
昨今、ガバナンスやリスク管理の重要度が高まっている社会情勢ながら、取引リスクへの関心やリテラシーは高くないという課題がうかがえると、同社は指摘する。
業務の中で過去の契約書を参照する機会を聞いたところ、「よくある」が22.2%、「時々ある」が43.9%であり、法務以外の職種でも6割以上に過去の契約書を参照する機会が一定程度ある。
過去の契約書を参照する理由では、「過去と類似する契約を締結するため」が67.2%と最も多く、「営業活動や商談準備のため」が45.2%で続く。半数近くが過去の契約書を営業活動や商談準備に活用しており、契約書は法務以外の職種・部門においても重要な資産であることがうかがえると、同社は分析している。