オンライン型ファクタリング協会(OFA)は3月22日、ファクタリング事業に関する業界の自主規制として事業者向けの「自主ガイドライン」を策定したと発表した。
今回の取り組みは、昨年11月に発表した東京都の補助偉業を受けたものとなり、策定にあたり都、金融庁、中小企業庁など関係団体と意見交換を行った。今後、事業者向けのガイドライン説明会などを通じて業界の自主的な健全化に賛同する事業者を増やし、4月をめどに会員企業の募集の開始を予定している。
OFAは2020年3月にファクタリング市場の健全な発展のための協働を行うべく、任意団体として活動を開始。昨年11月には東京都産業労働局の補助事業の対象団体に選定され、一般社団法人化、国内の主要ファクタリング事業者が参画し、8人の理事・監事で運営している。
オンライン型ファクタリング協会 代表理事であるマネーフォワードケッサイ Chief of Public Affairsの家田明氏は「悪質業者が法外の手数料、威迫的な取り立てを行い、社会的な印象がよくないが、中小企業にとっては重要な資金調達手段。ファクタリング事業者の多くが東京都内に存在し、法律・条例による規制ではなく業界の自主規制が期待されている。今後はインボイス制度や日本版Peppoleの導入、約束手形の廃止などもあり、ハードな規制は環境変化への対応力を弱めてしまうリスクがある。また、オンライン以降の黎明期にあるファクタリングは今後も進化が見込めるため、イノベーションを阻害しない自主ガイドラインを業界として整備し、関係諸団体、有識者と意見交換しながらガイドラインを整備することで、結果として中小企業や個人事業主をはじめとした利用者が安心して利用できる環境整備に貢献していく」と述べた。
ファクタリングは事業者が保有する売掛債権を使った資金調達手段の1つ。しかし、同市場は業法がないこともあり、サービス提供事業者の参入が比較的容易であることから、ファクタリングを装う闇金業者が存在するなど、玉石混淆とも評されているという。
このような背景から、業界団体として主に中小企業が安心して資金調達ができる環境の整備、ファクタリング市場の健全な発展のために自主ガイドラインを策定。ガイドラインはファクタリング業界の健全な発展のため利用者が安心して利用できる環境を整備するべく、事業者がサービス運営にあたり注意すべき点などをまとめたものとなる。
中小企業・個人事業主向けの2者間、3者間の買収ファクタリングを対象とし、特に今後を見据えてオンライン・デジタル時代にも対応した内容となっている点が特徴。これにより、オンライン・オフラインの事業者を問わず、広く業界の統一的な自主ルールとして普及を行い、業界の自主的な健全化に取り組む方針だ。
ガイドラインの方針として、家田氏と同じく代表理事であるOLTA 取締役副社長兼CSOの武田修一氏は「公的な規制に先んじて自主的に取り組んでいる。法律専門家と協力して策定し、金融庁や中企庁、東京都など関係団体とも意見交換を実施している。運営に問題のある事業者は改善を行わないとOFAの入会・継続ができないようにし、オフライン事業者を排斥しないようにオンライン・オフライン事業者共有のルールにする。また、ルールを既存事業者の規則権益化させずに細部まで規定しすぎないなど、新規参入や新しいサービスの登場の余地を残するとともに、時代に合わせて内容を見直していく」と説明した。
ガイドラインは総則、細則から構成され、総則で概要やポリシーについてまとめ、細則で具体例などの詳細を説明するという位置づけとなる。具体的な症候性は第1章が定義、第2章が入会、第3章が業務、第4章が禁止行為、第5章が情報提供、第6章が雑則。
入会にあたり運営会社の役員・株主に加え、資金源の確認など暴排観点でのスクリーニングを実施。また、管理システムや回収実務の委託先についても適切な管理・運用(丸投げによる責任回避はNG)を会員に求めることとし、手数料は利用者の事業を考慮して適切な水準の設定に努めるとしている。
さらに、広告などの不実行為や「●●省推奨」などと謳わず、威迫行為、生活・業務の平穏を害さないなどの禁止行為を定める。
今後、ファクタリング事業者向けのガイドライン説明会やFintech協会との分科会の共催などを行い、3月中に公式サイトでガイドラインを一般に公開し、4月の募集開始後は会員企業の情報公開なども実施する。