テレワークとハイブリッドワークの浸透
政府はこれまで働き方改革の一環として「テレワーク」を推奨してきた。しかし、テレワークはなかなか普及しなかった。日本は公共交通機関も自動車道も発達しており、物理的な出社・退社が可能だ。すでにうまく動いている仕組みを変えるには大きな原動力が必要になる。そうした原動力として、政府の声かけは弱かった。
しかし、新型コロナウイルス感染症(COVID‑19)の影響で、多くの企業がテレワークへの移行を余儀なくされた。テレワークへの移行には情報システムの変更やオンライン会議に必要なソフトウェアやハードウェアの調達、さらにはテレワークに適した管理体制への変更などが必要になる。新しい仕組みの導入の初期は痛みを伴うことになるが、良くも悪くも新型コロナウイルス感染症は世界全体で勤務体制を一気にテレワークへ切り替えるきっかけになった。
新型コロナウイルス感染症が落ち着いてくると、勤務形態は従来の出社・退社のスタイルに戻ってきた。しかし、テレワークの効果を知った企業は、テレワークと物理的な出社・退社を組み合わせた「ハイブリッドワーク」を行うようになっている。
浮いた通勤時間を睡眠や運動の時間に当てる
テレワークの最大の特徴は通勤が不要になることだ。
日本人の出社・退社に伴う移動時間は平均で1時間20分程度と言われている。これは「令和3年社会生活基本調査結果 (総務省統計局)」が最新の統計データだ。新型コロナウイルス感染症の影響で社会生活が変化したことから、通勤時間は5年前の調査よりも短くなっている。
5年前の調査である「平成28年社会生活基本調査結果 (総務省統計局)」の調査の方が通勤時間が長い。それでも、男性の平均通勤時間は往復1時間20分くらいと見ておけばよい感じだ。
1日1時間20分を費やしていた通勤時間がなくなれば、この時間を他の作業に当てることができる。睡眠や運動の時間を増やすことは、健康増進につながる。通勤を省略することができるなら、建設的に健康な生活を維持することに労力を費やせるようになる。
テレワーク&ハイブリッドワークのライフハック
そんなわけでテレワークやハイブリッドワークは生活のクオリティを上げる上でポイントの一つとなるので、受け入れられる企業は今後も続けていくと見られる。
これまで、ビジネスマンのライフハックと言えば、通勤時間を有効に使うためのものが取り上げられることが多かった。だがこうなってくると、今後は自宅での作業の効率を上げるためのライフハックも必要となるだろう。
例えば、物理的に会社に出社すると、雰囲気が変わって自然と仕事モードに切り替わるところがある。自宅での仕事にはこうした雰囲気の変化が起こらないため、自分でモードの切替を行う必要がある。この辺りをどのようにコントロールするかが、自宅での仕事におけるライフハックとして取り上げられる機会が増えてきている。
テレワーク&ハイブリッドワーク時代のライフハックの一つに、自宅仕事のクオリティを上げるためのガジェットの導入がある。パソコンやその周辺機器といった仕事に直接関係するようなガジェットもあれば、直接は関係しないものの仕事環境を改善するガジェットなど、さまざまなガジェットが紹介されている。
今回はそうしたガジェットの一つとして、作業環境の改善や気分転換に利用できるガジェットを取り上げる。ガジェットの導入は気持ちを切り替える上でも効果的なので、もし、自宅での仕事に変化が欲しいと感じているなら、参考にしてもらえればと思う。
仕事場所をキレイにする「コードレスクリーナー」
自宅で仕事をしていると、人によってはいつまでもズルズルと仕事をしてしまう。真面目な人ほどその傾向が強いかもしれない。そうなってくると、食事もパソコンの前で仕事をしながら片手間で済ませるようにもなってくる。その結果、パソコン自体が汚れてくる。特にキーボードは食べ物のカスなどが溜まり汚くなる。
作業する物理的なPCをキレイな状態に保つことはビジネスハックの一つだ。ここでオススメなのが、すぐに手が届く場所にコードレスのクリーナーを置いておくことだ。さまざまなメーカーがコードレスクリーナーを販売している。ダイソンのコードレスクリーナーはデザインが特徴的で家電量販店で見かけることも多いので、ご存知の人も多いだろう。
パソコンのような電子機器はホコリを得意としないので、時々掃除してホコリを取るのは大切なことだ。ホコリがあると通風口が狭くなって冷却システムの性能が下がるし、ファンがある場合はファンそのものの回転が鈍くなってくる。コンセントにホコリが溜まると物理的にも危険だ。手元にコードレスクリーナーを置いておいて、気がついたらサッと使えるようにしておいて、デスクトップを清潔な状態に保つようにするのは悪くない習慣だ。
自宅で仕事をしだすと運動不足を体感すると思う。仕事と仕事の合間にコードレスクリーナーをつかんでちょっとした掃除をすることは、運動不足の解消にもなる。家事や掃除といった非運動性熱産生(NEAT: Non-Exercise-Activity Thermogenesis)は積もり積もって健康にフィードバックされるので、ガジェット一つで非運動性熱産生の引き上げが可能なら費用対効果は悪くない。
春と秋は花粉症に悩まされるビジネスマンも多い。例えば、日本耳鼻咽喉科学会会報に掲載された2019年の花粉症有病率は42.5%を示している。2人に1人は花粉症を抱えていることになる(参考「花粉症環境保健マニュアル2022 - 2022年3月改訂版 - 環境省」)。
そう考えると、室内のホコリもかなり気になる。空気清浄機に溜まってくるホコリも気になる。コードレスクリーナーを手元においておくと、気になったときにすぐに使えるので、花粉症対策にもなる。
掃除機はすでに持っている人も多いだろうが、テレワークやハイブリッドワークをしているのなら、仕事で使っているデスクの近くにコードレスクリーナーを置くようにするのも一つの手だ。スペースに余地があれば、検討してみるのもありだろう。