TrendForceによると、2022年第4四半期のエンタープライズSSD市場は、価格下落の影響で前四半期比27.4%減の約37億9000万ドルとなったという。
各社ともに売上高が減少
NANDサプライヤ各社の業績を見ると、Samsung Electronicsは売上高を同16.0%減の17億8000万ドルとしたが、他社の落ち込みの方が大きく、市場シェアを46.9%に高めている。2023年下期にはPCIe 5.0製品が、いくつかの新たなサーバプラットフォームに組み込まれる予定であり、同社もすでに認定に向けて動き出しているほか、AIの活用推進によりHPCの需要が増加。HBMへの注文も徐々に増加しているため、SamsungでもSSDに加え、DRAMとHBMについても効果的な製品戦略を策定するなどといった動きを見せている。
市場2位のSKグループ(SK hynixとSolidigm)の売上高は同40.6%減の7億2050万ドル。中国での需要低迷に加え、新製品の発売も遅れたため、市場シェアを落とした。当初の計画では、合併の第1段階完了後、SSDの開発は主にSolidigmが担当し、2023年内にも176層TLCエンタープライズSSDを発売する予定だったというが、TrendForceの調査によると、この戦略にいくつかの変更が生じてており、それが両社に影響を及ぼす可能性があるとしている。グループとしては今年、中国市場での需要回復を頼りに、エンタープライズSSDの市場シェア拡大を目指す模様だという。
市場3位のWestern Digital(WDC)だが、第2四半期より北米のサーバODMによるPCIe製品の採用が増加しつつあったものの、北米顧客全体の調達量の減少により、売上高は同26.7%減の4億9300万ドルにとどまった。TrendForceによると、PCIe 4.0製品の発売で他社の後塵を拝している中、2023年下期にはPCIe 5.0へのシフトが業界として期待されるため、さらに他社との差が広がる可能性があり、2023年はシェアを維持するのが難しいとの見方を示している。
市場4位のキオクシアだが、PCIeよりも単価が高いSAS SSDの主要サプライヤとして、注文が予想を下回ったものの、価格下落は抑えられたことから売上高は同12.2%減の4億9100万ドルとなった。今後、同社はサーバOEM間でのPCIe 4.0製品の認定を加速し、中国での拡販を目指す模様である。PCIe 5.0 SSDに関してもすでに量産段階に移行しており、それによる全体利益の押し上げと、NANDの製造プロセス改善に向けたリソース確保を図りたい模様である。
5位のMicron Technologyの売上高は、エンタープライズSSDの売り上げの大半がSATA製品であったこと、ならびにサーバOEMの設備投資縮小のあおりを受けた結果、同53.1%減の3億800万ドルにとどまった。2023年は、176層PCIe 4.0 SSDの出荷が予想よりも低調ながら、多くのクライアントが製品認定を完了させ、在庫を消費しているため、下期にはそれらの出荷が増加することが予想されるという。製品開発としては、HBMと次世代インタフェースによる新製品を強化しており、事業拡大をうかがっている。
なお、TrendForceでは、2023年第1四半期もエンタープライズSSD市場は前四半期比でマイナス成長が続くと予測している。