日本電信電話(以下、NTT)は3月20日、個人のウェルビーイングと地域の関係人口創出を目的として、「日本文化・伝統に基づくSocial Well-being」の実証実験を開始することを発表した。その第一弾として、高野山(和歌山県 伊都郡 高野町)を対象とした「高野山×Social Well-being」を開始するという。

高野山は約1200年の歴史を持ち、世界遺産にも登録されている。同社は今回の実証を通じて、高野山の伝統的な文化や自然との関わりをメタバース空間や身近な生活圏内で感じられる体験を創出し、地域の関係人口創出を通じた地域創生を目指すとのことだ。

NTTはデジタルとリアルが連携し個人の自律と集団の調和が共存している状態を「Social Well-being」というコンセプトで示している。個人と集団の二項対立を超えて、個人と集団のより良い状態が共存する社会を目指す。

今回の実証では、同社が開発した「わたしたちのウェルビーイングカード」を用いたパートナーとの対話を通じて、高野山の地域の魅力から得られるウェルビーイングの要因を「高野山の自然・歴史・人とのつながり」「自己への気づき、メタ認知」「共創・共同体験による人とのつながり」の3つの価値で整理した。

これらの価値に対してICT(Information and Communication Technology:情報通信技術)を活用することで、生活者の身近な場所やメタバース空間でも感じられる体験を創出している。少し興味はあるものの現地に行くのをためらっている人を含め、さまざまな人の関わりを促すことで、生活者のウェルビーイングと同時に高野山への興味を喚起する。

  • 実証実験で提供する価値

    実証実験で提供する価値

  • 体験を通じて得られる価値

    体験を通じて得られる価値

今回の実証実験では、生活圏における体験価値の提供を目指して、同社の振動伝送技術を活用し高野山の僧侶の動作を体感しながら、金剛峯寺内の見学、金剛峯寺にある阿字観道場での瞑想体験を行う。視覚や聴覚だけでなく触覚も提示することで、さまざまな感覚で風景の中の世界の変化を感じ取れる。

現地の僧侶の動作で生じた振動を音やリズムとして身体に巡らせることで、高野山とのつながりを肌で感じるとともに、瞑想の経験者である僧侶の動作も感じられるとのことだ。

  • 生活圏での体験イメージ

    生活圏での体験イメージ

メタバースでの体験では、「わたしたちのウェルビーイングカード」を活用して自身のウェルビーイングな写真で構成される「Well-beingマイマンダラ」を作成。これは高野山の教えを表現している「曼荼羅(まんだら)」の様式に沿って表現されるもので、自分自身のウェルビーイングに関する内観を促す。

  • 生活圏での体験イメージ

    生活圏での体験イメージ