2023年のビジネス成長におけるデータ活用4つのテクノロジートレンド
今日のビジネス環境では、クラウドコンピューティングは、企業の事業継続において最も戦略的に重要なものの1つとみなされています。しかし、企業がクラウド戦略に対してどのようにアプローチし、実践するかという点では、変化が見られるようになっています。 先進的な企業は、「パブリッククラウドファースト」のDX(デジタルトランスフォーメーション)戦略から、より慎重でバランスのとれたアプローチに移行しており、最も合理的な場所にワークロードを分散させています。
より多くの産業でデジタル化が成熟するにつれ、業務効率の向上やコスト削減のために、ハイブリッドクラウド、人工知能(AI)、機械学習などの新興テクノロジーの導入は増加します。そのため、ハイブリッドクラウドが秘める大きな可能性を活用しようとする企業にとって、2023年は極めて重要な年になると考えています。
ここでは、今年、ビジネス成長に大きな影響を与えるであろう4つの主要なテクノロジートレンドを紹介します。
1. データとアプリケーションのハイブリッドアーキテクチャへの移行が進む
組織のクラウド戦略は、単一のパブリッククラウドプロバイダーを利用するオンプレミスから、複数のパブリッククラウドプロバイダーをオンプレミスで利用する形へと移行し始めています。
それだけではなく、クラウドサービスプロバイダーに対する組織の見方も変わりつつあります。今日の組織は、ビジネスニーズに合わせてクラウド戦略を調整する際に、クラウドプロバイダーの中立性を求め、ベンダーロックインを回避しようとしています。
このため、データファブリックアーキテクチャに対するニーズが高まっています。このアーキテクチャでは、複数の場所で異なるワークロードをオーケストレーションおよび管理でき、それらの間でセキュリティガバナンスを共有することができます。組織がハイブリッドアーキテクチャの導入に対してよりオープンになってきていることから、このアーキテクチャは重要な意味を持つことになります。
現在、そして将来の両方において、企業にとって最も意味のある場所でワークロードを実行できることは、組織が戦略を切り替えた際に迅速に対応できる柔軟性と、ビジネスの時流を踏まえ、事業を効果的な方向に進める俊敏性をもたらします。
2. ゼロトラスト環境におけるデータ・フェデレーションの関心の高まり
ゼロトラストまたはそれに近い環境におけるデータ・フェデレーション対する関心が高まっています。
これまで、データ・フェデレーションの先駆者は公共機関でしたが、データから抽出されるインサイトを、データのコントロールを失わずに収益化または共有することに、一般企業も強い関心を持ち始めています。
豊富なデータは、より深いインサイトをもたらしますが、データの分析はデータがまだ暗号化されたドメインにある間に行う必要があるため、より複雑で手間がかかります。
したがって、各国がデジタルアジェンダを推進する中、連合体としてデータのコラボレーション・共有・学習は、官民両セクターの組織でますます必要になります。
3. オンプレミスとパブリッククラウドを活用したオープンなデータレイクハウスアーキテクチャへ移行が加速する
より多くの企業がデータ主導の経営を目指す中、情報に基づいた意思決定を行うためには、あらゆるクラウドに存在する、あらゆるデータからリアルタイムでインサイトを抽出する能力が重要になります。
デジタル変革期における今日の変化と今後の課題にうまく対処するために、企業はデータを戦略的なビジネス資産に変えることができるツールを必要としています。最新のデータアーキテクチャを備えたツールにより、企業はデータが存在するあらゆる場所で、迅速かつ安全にデータを特定し、管理、分析することができます。
オープンデータレイクハウスアーキテクチャは、従来のオンプレミス型データウェアハウスに代わる効果的な選択肢として徐々に普及しています。Apache Icebergのようなデータアーキテクチャおよびテクノロジーは、膨大な(ペタバイト)規模で優れたパフォーマンスを実現します。
また、オープンソースかつクラウドネイティブなテーブル形式であるため、限られた数の分析ツールに縛られることなく、データからインサイトを抽出するために不要なデータ変換やツール、クラウド間でのデータ移動が軽減されます。
これにより、品質と信頼性の向上、多機能分析のサポートによる効率化、総所要コスト(TCO)とデータの陳腐化を抑制することに役立ちます。さらに、データ保護に関する法律や規制が強まる中、このアーキテクチャはデータがどのようなものであったのかを過去にさかのぼってレポーティング、分析することができます。
4. 新しいAI・機械学習アルゴリズムの導入と開発
最近は、AI/ML(機械学習)アルゴリズムの新展開がみられるようになりました。例えば、DALL-EやWisperのようなAIシステムの音声認識機能の向上により、音声からテキストに正確かつリアルタイムに翻訳を行えるようになっています。
ChatGPTのようなAIチャットボットは、いまやGoogleも脅威を感じていると言われるほど進化を遂げています。やがて、この最先端分野の進化が企業にも波及し、機械学習やデータ処理への活用が促進することになるでしょう。
これらは、不正取引や金融犯罪の対策など、無数の異なるユースケースで使用でき、最終的には開発者がより効率的にコーディングできるようになるでしょう。