スイスABBは3月16日(米東部時間)、米ミシガン州オーバーンヒルズにある既存の北米ロボット本部と製造施設の拡張工事を開始し、最大の顧客市場の1つという米国への取り組みを強化したと発表した。このプロジェクトは2023年11月の完成を目指し、2000万ドル(約26億6300万円)の投資を行う。今回の拡張により、同地域で72人分の高度な技術を要する新規雇用を創出するといい、ミシガン州ビジネス開発プログラム実績ベースの助成金45万ドルにより支援を受ける。
同社は2010年以降、140億ドルを米国に投資しており、今回の投資は米州の、特に電気自動車、ヘルスケア、パッケージング、物流などの成長分野のユーザー企業に利益をもたらすことになる。
今回の拡張は工場の生産能力を向上させ、ABBロボティクスが2022年6月に欧米の経営者1610人を対象に行った調査で明らかになったという、生産を自国に近付けることを検討している米国企業の70%からの自動化への需要増加に対応するもの。
ABBロボティクスは、1993年に53万8000平方フィート(約5万平米)の建物に入居し、2015年に製造工場を開設、北米のロボット製造拠点にコミットした最初のグローバル産業ロボット企業になった。
工場の拡張と自動化の利用拡大により、ジョージア州アトランタにあるABBロボティクス・パッケージング&ロジスティクス本部とテキサス州ヒューストンのテキサス医療センターにあるロボティクス・ライフサイエンス&ヘルスケアハブをサポートし、新しい雇用を創出するとしている。
ABBは、オーバーンヒルズに既に約350名の従業員を擁しており、米国内では全国に40以上の拠点を持ち、2万人以上の従業員を擁しているとのこと。
今回の投資により、最新のデジタル技術と自動化技術を導入し、米州のために米国で次世代ロボットを製造し、納品プロセスの合理化とリードタイムの短縮を実現するとしている。
米国、カナダ、メキシコ、南米のユーザー企業に納入するロボットの90%近くを、オーバーンヒルズで製造することになるという。
この工場は、デジタル接続およびネットワーク化し、インテリジェントな自律移動ロボットが活躍するフレキシブルなモジュール式生産セルを使用する。
AI(人工知能)を搭載したロボット・システムは、ネジ打ちや組立て、マテリアル・ハンドリングなどの作業を担い、これらの作業から人を解放し、よりやりがいのある仕事を可能にする。