富士フイルムは3月16日、ライフサイエンス領域の成長を目的として、CRO(Contract Research Organization:医薬品開発業務受託機関)事業を開始することを発表した。CROとは、製薬企業やバイオベンチャーらが実施する医薬品の研究開発に対し、薬効評価や安全性試験などのサービスを提供して臨床試験を支援するもの。
同社はこれまで、ライフサイエンス領域においては低分子医薬品やバイオ医薬品の開発・製造受託サービスを提供してきた。今回はライフサイエンス領域の戦略を推進するライフサイエンス戦略本部の下にCRO事業推進室を新設し、新たな医薬品のシーズ探索や有効性評価などのサービスを提供するとしている。
同社でバイオ関連技術の研究開発を行うバイオサイエンス&エンジニアリング研究所のほか、製造インフラと創薬の知見を有する富士フイルム富山化学、試薬ビジネスなどで国内販売網を持つ富士フイルム和光純薬など、グループのリソースを結集させ国内向けに創薬支援CROビジネスを展開する。
具体的には、ヒトiPS細胞由来分化細胞に関するノウハウとAI(Artificial Intelligence:人工知能)技術を組み合わせ、医薬品候補物質の有効性・安全性評価および作用機序解析のサービスを提供する予定だ。
また、遺伝子治療薬に関するサンプルの作製や、その治療薬の分子構造の解析にも対応する。さらには、がんや感染症の分野を中心として、医薬品の研究開発の知見を生かした創薬コンサルティングなども手掛けるという。