パナソニック オートモーティブシステムズは3月15日、自動車のソフトウェア開発の新プロセスをマツダとの共創で確立し、開発工数の大幅な削減を実現したことを発表した。この新プロセスは、マツダの国内向け「MAZDA CX-60」に搭載のコネクティビティマスタユニット(車載情報制御系システム)の一部に適用されている。

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両社は、モデルベース開発による開発効率化に取り組んできた。マツダではモデルベース開発をSKYACTIVエンジンの制御に適用し、品質で約10倍の効果が得られたという。また、先進安全運転支援システムであるi-ACTIVSENSEなどにも適用を拡大している。パナソニックグループでは、電気自動車の電動パワートレイン開発に適用した例があるという。

しかし、自動車メーカーと自動車部品メーカーのやり取りは人の手で文章や図表を記載した仕様書を用いており、記述のあいまいさや不足などから、不具合や設計のやり直し等が発生する可能性があった。

そこで両社は、文章や図表で記載された従来の仕様書のやり取りではなく、仕様の振る舞いをシミュレーション可能な電子データを仕様書とする「モデル」でのやり取りによる開発に取り掛かった。個社で開発効率化を図るだけでなく、自動車メーカーの要求仕様の定義から、自動車部品メーカーにおける詳細な設計段階での設計、商用ソフトウェアへの自動コード生成までを、共同で、一気通貫で実施するための開発プロセスを策定した。

モデル化により、あいまいさを排除した仕様の記述や設計段階でのシミュレーション検証が、両社間にまたがって実施可能となる。一連の取り組みにより、設計の手戻りを回避し、開発工数を2割程度削減できる見通しだという。

マツダは要求仕様をモデルで設計・検証し、要求モデルとして自動車部品メーカー(パナソニック オートモーティブほか)に提示する。パナソニック オートモーティブはマツダから要求モデルを入手し、自社開発ツールでモデル変換・検証する。パナソニック オートモーティブはモデルの詳細設計・自動ソフトウェアコード生成する。

これらの開発をサポートする共通基盤として、マツダ側のツールとパナソニック オートモーティブ側のツールとの間で、互換性を保証した状態でモデルをやり取りするための共通仕様書(モデル交換仕様書)の策定と両社での共通ガイドライン化を行う。また、開発中のモデルを相互接続し設計検証可能なシミュレーション環境(共有検証ゾーン)を構築している。

この開発プロセスの適用範囲の拡大により、両社はそれぞれ、さらなる開発効率化を目指すとともに、MBD推進センターなどと連携し、業界における標準化活動を推進していく構えだ。これにより、モデルを用いた高度なすり合わせ技術を実現し、国内自動車産業の国際競争力の向上に貢献していくとしている。