米Metaは3月14日(現地時間)、CEOのMark Zuckerberg氏が同社の社員に送った「Update on Meta’s year of efficiency」というリストラ計画に関する書簡を公開し、約10,000人を追加削減する計画を明らかにした。また雇用についても、凍結していた約5,000人の採用を中止する。

Metaは昨年11月に全社員の約13%、11,000人以上を削減する計画を発表した。新型コロナウイルスの感染拡大からサービス需要が急拡大し、それを受けて採用を加速させたが、マクロ経済の悪化、競争の激化、広告のシグナルロスなどによって主力の広告事業の成長が鈍化。高成長の継続に基づいた成長戦略を改め、体制のスリム化を目指して大規模リストラに乗り出した。2019年末時点で44,900人だったMetaの社員数は昨年9月末時点で87,300人と、約2年半で倍近くに増加していた。

前回に近い大規模削減の実施について、Zuckerberg氏は不透明な経済環境が「数年続く可能性に備える必要がある」と述べている。2023年を「効率化の年」とし、厳しい環境において財務パフォーマンスを向上させ、「AI(人工知能)の前進」や「メタバース」といった長期的なビジョンに集中して取り組める組織への再編を加速させる。Metaの2022年10〜12月期決算は、売上高が前年同期比4%減の321億6500万ドル、純利益が55%減の46億5200万ドルだった。減収減益だが、売上高が市場予想を上回っており、プライバシーを重んじた広告配信を実現するAI技術向上への取り組みが実を結びつつある。

削減は15日に対象になる人事部門の採用担当者に解雇を通知し、4月下旬に技術系の社員、5月下旬にビジネス系の社員に知らせる。米国外でも実施する計画で、一部については変更の完了が年末になる可能性がある。また再編に伴う組織ごとの変更について、各組織の責任者が数カ月中に、組織のフラット化、優先度の低いプロジェクトの中止、今後の採用について説明がする。

効率化のプロセスでは、コスト削減と組織の効率化に加えて、エンジニアの生産性を高めるツールへの投資、分散型ワークモデルの最適化なども行っている。すでに成果が現れており、これまでのスリム化で社員の生産性が向上し、重要なプロジェクトの進行が予想以上に改善しているとのこと。「優先度の低いプロジェクトの間接的なコストをこれまで過小評価していた」とZuckerberg氏は述べている。