クルマに搭載されたAIが、ドライバーと会話しながらその日の天気やコンディション、交通情報などを伝えて運転をサポートするシーンは、SF映画などではよく見られる光景である。残念ながら、現実のクルマはまだ一部の単純な音声コマンド以上の機能は実現していないが、最近のAIの進化がこの状況を変えるかもしれない。
Semaforが3月11日、「GM wants to bring ChatGPT-like assistant to drivers」において、自動車メーカーのGeneral Motors(GM)がドライバー向けにChatGPTのようなAIアシスタント機能の開発に取り組んでいると伝えた
Semaforによれば、GMのSoftware Defined Vehicle and Operating System担当の副社長であるScott Miller氏が、次世代のAIアシスタントを開発中であることを認め、それが現在の単純な音声コマンドを超えたものになる語ったという。新しいAIアシスタントで実現するシーンの一例としては、ドライバーが車のタイヤ交換の方法を聞いたり、ダッシュボードに表示された診断アラートが何を意味するものなのかを訪ねたりすることが挙げられている。
単純な音声コマンドではなく、会話としてAIがドライバーをサポートするには、人間の話す言葉の意図を正確に認識できる自然言語処理技術が不可欠となる。ChatGPTの成功に見られる近年の自然言語AIの進化は、自動車産業におけるこの長年の課題のブレークスルーになる可能性を持つ。
GMは2021年に自動運転車の商用化を加速するため、Microsoftと長期的なパートナーシップ契約を結んでおり、クラウドコンピューティングやAIなどを含む最新のテクノロジーを利用する準備を整えている。GMが開発中のAIアシスタントも、クラウドプラットフォーム「Microsoft Azure」を利用するとのことで、これはChatGPTを開発したOpenAIの技術を優先的に利用できることにつながる。
ただし、GMのAIアシスタントはChatGPTやBing Chatをそのまま利用するわけではなく、既存の自然言語モデルの上により自動車固有のレイヤーを追加したものになるようだ。技術の詳細はまだ明らかにされていないが、もしChatGPTのように人間に近い会話ができるAIアシスタントが実現すれば、単に便利というだけでなく、車の運転がより楽しいものになるかもしれない。