凸版印刷は3月14日、工場や施設内での金属同士の衝突や摩擦により起こる音など、正常稼働時には発生しない異常音を遠隔監視する収音センシングシステムを開発したことを発表した。同システムは「収音センサー」と「データ閲覧アプリ」から構成され、同社のスマート点検支援サービス「e-Platch」専用のツールとして提供される。

  • 「収音センサー」(左)と「データ閲覧アプリ」の画面例(右、画像は開発中のもの)(c)TOPPAN INC.

    「収音センサー」(左)と「データ閲覧アプリ」の画面例(右、画像は開発中のもの)(c)TOPPAN INC.

「e-Platch」は、工場や施設の環境データを自動収集し、工場全体のリスクマネジメントを強化する統合的監視システム。センサー機器から監視システムへのデータ伝送には、次世代LPWA(低消費電力広域ネットワーク)ZETAを採用している。

今回開発した収音センシングシステムは、発生している音を収録し、160ヘルツから1万6,000ヘルツの帯域を21分割して周波数帯ごとの音強度データを取得、データを圧縮・分割してアプリ側に伝送する。アプリ側では、デシベル値を周波数帯ごとにプロットし、音の傾向をグラフ上に見える化、ユーザーが設定した「しきい値」を超過した場合にはアラートを発報する。

また、ZETAの持つ「超狭帯域による多チャンネル通信」「メッシュネットワークによる分散アクセス」「双方向での低電力通信」といった特長と、付属の収音マイクが防水仕様であることを活かし、工場や施設の屋上、地下の入り組んだ場所にも設置が可能。

アラートを発報したり、収音したデータの傾向から「異常」を定義・検出したりするなどの機能をアプリ側に移行することで、従来品と比較して半額以下での提供を実現。同額の予算内でセンサーの設置個所を倍以上にできるなど、監視できる対象をきめ細かく設定可能だという。

  • 「e-Platch」サービス概念図 (c)TOPPAN INC.

    「e-Platch」サービス概念図 (c)TOPPAN INC.

今回、「e-Platch」に接続できるセンサー機器のラインアップに収音センサーが加わったことで、設備や機器が発する異常音を、工場や施設内のバックグラウンドノイズに埋もれることなく検出し、アラートの発報や異常の履歴レポート出力が可能。設備の異常を早期発見し、機械部品の交換時期を適切に把握することで、保守・点検作業の効率化を図ることができるとしている。

凸版印刷は、収音センシングシステムを含む「e-Platch」を、日本国内の製造業、施設管理会社など向けに4月より販売開始する。

e-Platchは対象となる工場・施設の構造・仕様により導入要件の検討が必要となるため、価格はコンサルティングのうえ個別の見積もりとなる。なお、収音センシングシステムは「e-Platch」専用の機器であるため、単体での販売は行わない。