IDC Japanは3月13日、2022年の国内のAR(拡張現実)/VR(仮想現実)ヘッドセットの出荷台数を発表した。これによると、2022年通年の国内AR/VRヘッドセット出荷台数は、2021年と比べて3.3%増の34万台だったという。
2022年におけるARヘッドセットの出荷台数は、2021年と比べて102.7%増の4万台だった。これまで国内のARヘッドセットは法人向けが中心だったが、新たにNrealやRokidなどのコンシューマ向けデバイスが大きく伸びたことが、前年比大幅増の要因になったという。特にNrealは、5万円以下で購入できるデバイスを立ち上げ、国内のコンシューマ向けデバイスの成長を牽引している。
一方、法人向け製品は減退している。国内の法人向けデバイスは、製造業や建設業などの一部の先進的な企業での遠隔作業支援業務での利用が中心であり、他の業種への展開や、同業種での横展開は足踏みしている状況だ。
また、ARコンテンツやサービスのニーズは高まっているものの、企業の開発はスマートフォンやタブレットだけでARを体験できるサービスに偏っているといい、必ずしもヘッドセットが必要とされていないと同社はみる。
VRヘッドセットは、2021年と比べて1.6%増の30万台だった。
MetaのQuest 2も発売から1年以上が経過し、またインフレや円安の影響で製品価格が上がり消費者は購入を控えているという。しかし、2023年はソニーがPlayStation VR2(PSVR2)を発売し、さらにMetaのQuest 3も発売予定のため、VRヘッドセット市場は大きく成長すると同社は見込んでいる。
同社Consumer Devicesのマーケット・アナリストである井辺将史氏は、「2022年はメタバースという言葉が流行したことで、XR技術に注目が集まったが、AR/VRヘッドセット市場にはほとんど影響がなかった。2023年以降もゲームやモニターなどのコンシューマーユースでの利用が中心になると思われる。ただ、多くの企業においてトレーニングやXR技術を使った顧客体験の創造などが行われており、中長期にはさまざまな用途での活用が見込まれる」とコメントしている。