トヨタ自動車(トヨタ)は3月9日、同社が発売している水素で走る車「MIRAI」のFCスタック(燃料電池スタック)などを活用して、水を電気分解して水素を製造する水電解装置を新たに開発し、今後の普及促進に向けた技術実装の場として、同月からデンソー福島の工場において稼働を開始すると発表した。
今回開発された水電解装置は、同社が長年にわたるFCEV開発で培ってきた技術、世界のさまざまな使用環境の中で蓄積してきた知見・ノウハウを生かして新開発したもの。
水を電気分解するスタック(水電解スタック)に使用しているセルは、2014年12月の初代「MIRAI」発売以降、700万枚以上(FCEV約2万台分)の量産・使用実績に裏付けられた高い信頼性を確保している。
FCEV用に開発し初代MIRAI以降搭載しているスタックのセパレーターにチタンを採用しているが、耐食性の高いチタンの特性を生かして水電解装置に求められる耐久性の向上を追求しており、約8万時間の稼働を経ても初期とほぼ変わらない性能維持を目指して開発されている。
加えて、水電解スタックの生産過程において、FCEV用FCスタックの部品およびFCスタック生産設備の90%以上の流用・共用が可能であるほか、長年にわたるFCEV開発で培ってきた技術・知見・経験を活かすことにより開発期間の大幅な短縮を実現する。
同社は今後、この水電解装置で製造したクリーンな水素を工場ガス炉で自家消費する「水素地産地消」モデルの構築を目指して取り組みを加速させていく方針。